「自ら」は「みずから」と「おのずから」の2つの読み方があります。
同じ文字なのに2つの読み方があるのは、日本語には珍しくありませんが、意味の違いや使い分け方など、迷うことがありますよね。
迷ったときのために、「自ら」の2通りの意味や使い分けのポイントについてご紹介します。
「自ら」の2つの読み方について
「自ら」の読み方は、一般的には「みずから」です。
「おのずから」と読むケースは少ないのですが、「おのずから」と読むのが間違いというわけではありません。
「自ら」を読むときに「みずから」と「おのずから」の2つの読み方があるので、間違えやすいことから、一般的には「自ら→みずから」「自ずから→おのずから」と送り仮名を変えることで見分けるようになったのです。
または、「おのずから」とひらがなのままで表すことで、見分けるように工夫されています。
ただ、本来は「自ら」を「おのずから」と読んでいた時代があったので、現在でも「自ら→おのずから」と書かれていることもあるのです。
そもそも「みずから」と「おのずから」では意味が違うので、どちらか迷った時には、前後の文章の内容などで判断するしかないわけです。
「みずから」の意味
「みずから」とは、「自分から」という意味です。
使い方の例を見てみましょう。
「自ら留学を希望した」
「この企業への就職は自らが選択した」
「誰かに頼らず、自らの努力で困難を乗り越えた」
「自ら選んだことだから誰も責められない」
「自らを勇気付けるために叫んだ」
このように、自分自身で行動することや、選択するときに「自ら=みずから」という言葉で表します。
「おのずから」の意味
「おのずから」とは、「自然に」という意味です。
「自然に」とは、誰かの力によってではなく、結果として出たことを表します。
使い方の例文を見てみましょう。
(わかりにくいので「自ずから」と送り仮名を付けています)
「真相は自ずから明らかになるはずだ」
「誰のせいでもない、自ずからそうなる定めだったんだ」
このように、「おのずから」という言葉は、「みずから」とは明らかに違う意味があります。
送り仮名も同じ、ひらがなでもなく「自ら」と書かれていたとしても、自然の流れによる結果を指しているような文章であれば、「おのずから」と読むのが正解です。
「ひとりでに○○になった」とか「自然に○○になった」という表現は、少し子供っぽい印象があるので、「おのずから」を使う大人は多いです。
ですが、漢字表記する時に「自ずから」と送り仮名を付けなくても間違いではないというのは、あまり知られていないようですね。
まとめ
「自ら」に2つの読み方があるのがややこしいと感じた人が多かったので、送り仮名をつけて使い分けやすくしたのではと推測できます。
他にも同じ字なのに違う読み方をする言葉は沢山あるので、わかりやすい見分け方のルールが増える可能性もありますが、長く慣れ親しまれてしまうと、変えにくいでしょうね。