日本では考えられないことですが、世界を見渡せば、自分の国で生きることができなくなってしまう人たちがいます。
色々な不満がありながらも、自分が生まれ育った国から逃げ出さないといけなくなるなんて、想像できません。
ですが、今でも世界では起こっていることです。
たとえば、2020オリンピック東京大会(開催されたのは2021年)に出場した海外の選手がが、帰国を拒否して亡命したというニュースがありました。
帰国すると、身の危険があるかも知れないので、保護を求めたのです。
そんなことが現代にもあるなんて、ホントに驚きますが現実に起きているのです。
さて、ここで少し疑問に思ったのが「亡命」です。
なぜ自分の国から出て生きることを「亡命」というのでしょう。
その理由が語源について解説します。
「亡命」とは
「亡命」とは、本国から逃げることです。
主に政治的、宗教的な理由から、迫害を受ける危険が及びそうな場合に、他国に逃げて保護を求めることです。
前述のオリンピック選手のケースも、帰国すると危険が及ぶことを恐れて、帰国時の空港で日本の警察に保護を求めたのです。
ちなみにこのケースでは、隣国が受け入れたので無事に日本を発ったわけです。
「亡命」と書く理由
「亡命」は、生きるために他の国へ逃げることなのに、なぜ亡命という文字を使うのでしょう。
命を落とすこと覚悟して逃げるからなのか、それとも自分の生まれ育った国を捨てることで、一旦は死んだと考えて生き直すからなのか・・。
文字だけ見れば、色んな想像をしてしまいます。
ですが、「亡命」は人間の生死にはかかわりのないことが語源でした。
もともと「亡命」とは中国の言葉です。
亡命の「命」は昔の中国の戸籍のことだったのです。
古い時代の戸籍のことであり、その戸籍から抜けて逃げることを「亡命」というようになったのです。
戸籍から抜けるということは、その国の民ではなくなるということで、現在のような「亡命」に使われるようになったのです。
「亡命」と「難民」の違い
「亡命」と同じように、自分の国で生きられなくなって隣国などに逃げる人たちのことを「難民」と呼びます。
内戦や内乱、自然災害などで生活する場所を奪われた人たちのことだと思われています。
ですが、難民とはどんな人を指すのか調べてみると、
政治的思想、宗教的な迫害、思想的な弾圧、人種差別などから逃れて、他国に保護や援助を求める人たちです。
つまり、亡命者と難民はほとんど同じなのですよね。
ただ、亡命者は本国に帰国すると身柄を拘束されるようねケースもあるので、生きている限り、帰国しない覚悟が必要です。
影響力のある人物だったりすると、一時的な避難と言うわけにはいかないのでしょう。
難民の場合は、暮らせる場所を奪われたことが理由であれば、本国が平静を取り戻した時には帰国する人もいます。
自らが望んで本国から逃れる亡命と、自分の意思に反して命を守るために逃げる難民とでは違います。
「亡命」と「難民」の意味はほとんど同じでも、現実には違うのではないでしょうか。
まとめ
「亡命」という言葉は、幸いなことに日本で暮らしていると、身近ではありません。
映画の中のセリフのような気がしてしまいます。
ですが、世界には身の危険を感じながら国を追われる人がまだまだ存在するのです。
平和にあぐらをかいてしまわないように、世界のことに目を向けないといけないと思わされました。