私たちが普段の会話ではほとんど使わない言葉でも、国会中継などを見ていると頻繁に聞く言葉があります。
たとえば数年前のモリカケ問題の時の「忖度」は、それまでほとんど聞かなかったのに、いまではすっかり一般社会でも使う言葉になりました。
最近もまた、ニュースを見ていると「つまびらかには~」という言葉をよく耳にします。
「つまびらか」という言葉は、意味は何となく分かるけれど、一般の人たちの会話ではあまり使いません。
今回は「つまびらか」の意味や語源、使い方などをまとめてみました。
「つまびらか」の意味とは
「つまびらか」という言葉の意味を調べてみると、
細かいところまで省くことなく、くわしく扱う様子。
とあります。
「つまびらか」という表現を言い換えれば、「くわしく」とか「こまかく」ということでしょう。
「くわしく」とか「こまかく」と言えばわかりやすいのに、あえて「つまびらか」という表現をしなければいけない決まりや理由はありません。
「つまびらか」を漢字にすると
「つまびらか」は漢字にすると「詳らか」か「審らか」です。
「詳」はくわしいこと、こまかいことを表す言葉に使います。
「審」ははっきりさせること、明らかにすることを表す言葉に使います。
ただ、「詳らか」や「審らか」という漢字は、新聞などでは使いません。
新聞では漢字ではなく「つまびらか」と仮名を使っています。
なぜ新聞では漢字で書かないのでしょうか・・。
その理由は、「つまびらか」の語源に関係があるようです。
「つまびらか」の語源とは
「つまびらか」の語源を調べてみると、平安時代にまでさかのぼらないといけません。
平安時代に使われていた「ツバヒラカ」という言葉が、今の「つまびらか」の語源になったと言われています。
「ツバヒラカ」は漢文の言葉がもとになっているようです。
漢字では「詳」の文字で表します。
つまり、今の時代にまで使われている「つまびらか」は、もともと「ツバヒラカ」だったわけです。
どのタイミングで「ツバヒラカ」から「つまびらか」に変わってしまったのかは不明です。
ですが、今もそのまま「つまびらか」を「詳らか」と変換して使うようになっています。
意味も同じままなのですが、新聞などで「詳らか」や「審らか」を使わないのは、転じた読み方が定着した言葉だからなのですね。
「つまびらか」の使い方
一般の人たちの生活の中では、ほとんど使う機会のない「つまびらか」という言葉。
あえて使うのであれば、どのような使い方をするのか例文で見てみましょう。
「詳らか」と「審らか」では意味が大きく違うわけではありませんが、使い方によって分けています。
「詳らか」の例文
先週の食事会に参加したメンバーをおぼえてる?
あの日は途中参加の人もいたので、ハッキリとはおぼえていません。
会計の清算をしたいから、詳らかに参加者を知りたいのよね。
わかりました。調べてみますね。
「審らか」の例文
なぜ今回の商談がまとまらなかったのか、理由を聞かせて欲しい。
大変申し訳ありませんが、担当者ではないのですぐにはお答えできません。
では、担当者からよく話を聞いて、商談が失敗した原因を審らかにしなさい。
使い分けるポイント
「詳らか」と「審らか」はとくに使い分けなければいけないわけじゃありません。
ですが、2つの文字をあえて使い分けるのであれば、物事を詳しく説明する時には「詳らか」に、物事を明らかにさせる時には「審らか」を使うと、ニュアンスが伝わりやすいのではないでしょうか。
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まとめ
「つまびらか」という言葉は、平安時代の言葉が変化しているので、かなり古くから使われてきたようです。
ですが、日常会話では滅多に耳にしなくなっているので、若い世代にはまったく意味不明な言葉だと思います。
わかりやすい言葉があるので、わざわざ古い表現を使うこともないでしょうが、せっかく残っている言葉なので、機会があれば使ってみてはいかがでしょう。