おつまみとして定番の「するめ」と「あたりめ」ですが、この2つはそれぞれ違うイカを原料にしていると思っていませんか?
私はずっとそう思っていました。
同じイカを使っていると知った時には、かなりの衝撃を受けました。
でも、どうして同じイカを使っているのに、わざわざ違う呼び名があるのでしょう。
作り方の違い?それとも地域性の違い?
小さな疑問ですが、気になったので調べてみました。
「するめ」と「あたりめ」の違いや、他にもおつまみに人気の食べ物の疑問も集めてみましたので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
「するめ」とは
「するめ」といえば、おつまみの代表的なものです。
「するめ」と呼ばれるのは、スルメイカを使って作られることが多いからです。
スルメイカの身を乾燥させて加工したものです。
スルメイカだけじゃなく、ケンサキイカやヤリイカを使うこともありますが、スルメイカ以外を使っても「するめ」と呼びます。
ケンサキイカを乾燥させたものは、地域によっては「剣先するめ」と呼ぶこともあります。
スルメイカよりも、ケンサキイカの方が高級なので、お値段の違いがあります。
同じだと思われると「どうしてこんなに値段に差があるの?」と驚かれるので、呼び名を変えた方がわかりやすいですね。
「あたりめ」とは
「するめ」と同じように、おつまみの定番になっている「あたりめ」もスルメイカを使って作るのが一般的です。
つまり「するめ」と「あたりめ」は原材料も作り方も違いがあるわけではなく、同じ食べ物なのです。
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「するめ」と「あたりめ」に分かれた理由
どちらもスルメイカなどを使った加工食品なのに、なぜ「するめ」と「あたりめ」という2つの呼び方があるのか。
その理由は和食の世界の人なら常識のようですね。
和食の世界では「する」という言葉を「あたり」に言い換えることがあります。
「する」は縁起の悪いことを連想させるので、「あたり」に言い換えるようになったそうです。
「するめ」を「あたりめ」に言い換える他にも、
すり鉢→あたり鉢
すりこぎ→あたり棒
このような変換をしたのが「するめ」と「あたりめ」という2つの呼び方が一般的に広まるきっかけになったのです。
もともと「するめ」は結納の品になるくらいなので、おめでたくて縁起の良いものなのです。
ですが、「博打に負けてする」とか「スリにあって財布を盗まれる」など、お金を失うことを連想させるのも確かにそうです。
誰が言い始めたのかわかりませんが、縁起を担ぎたくなる人がいたのでしょうね。
「するめ」はなぜ縁起物なのか
「するめ」は結納の品になるほど縁起物とされるのには、色んな理由があるようです。
1つはしっかり乾燥させているので、長期保存できることから「末永く続く」という意味を込めています。
また、噛めば噛むほど味が出ることも、夫婦が末永く円満に続くことを連想させるからでしょう。
結納品の「するめ」は「寿留女」という縁起の良さそうな文字を当てる風習があります。
また、イカは足がたくさんあります。
江戸っ子はお金のことを「お足」と呼びますから、足が数多くあるので縁起が良いという意味もあるようです。
大相撲の土俵には、昆布やお米、勝栗などの縁起物が埋められていると聞きますが、やはりその中にも「するめ」が含まれているそうです。
縁起が悪いことを連想させるので「あたりめ」という呼び方が生まれたのに、縁起物として使われる時には言い換えないのも不思議な気がします。
「あたりめ」という呼び方が広まったのは、江戸時代の中頃以降なので、それよりも古い風習は変わらずに「するめ」を使うのでしょうね。
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まとめ
「するめ」と「あたりめ」のように、同じものなのに呼び方が違うものは他にもたくさんありますね。
とくに食べ物に多いような印象があります。
地域による違いもあるのでしょう。
和食の板前の経験がある人には、当たり前のことなのでしょうが、意外と知らない人もいると思うので、参考にしていただけると嬉しいです。