【立往生】の意味とは?動けなくなることと同じ?正しい使い方は!

ことばの意味

「立往生」という言葉は、動けなくなることを表す時に使われます。

「大雪の影響で高速道路に複数の車が立往生しています。」
「電車の不具合のため乗客を乗せたまま線路上で立往生しています。」

このようなことを伝えるニュースなどでも、「立往生」が使われます。

「立往生」という言葉の語源を知っている人は、何となく違和感をおぼえるのではないでしょうか。

「立往生」の使い方として、これは正しいのか・・・という疑問を感じてしまうのは私だけではないのかも知れません。

「立往生」の語源、意味、使い方などを解説します。

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「立往生」の語源とは

「立往生」の語源は、ご存知の方も多いと思います。

武蔵坊弁慶の最期の様子が語源になったと言われていますよね。

源義経が最期を迎えるためにこもった堂の前に立ちはだかり、無数の矢を受けがらも、立ったまま命を終えたと伝わっています。

その様子から、立ったまま往生したという「立往生」という言葉が生まれたと言われています。

弁慶の立往生が真実だったのかは定かではありませんが、義経への忠義は後々まで語り継がれています。

歌舞伎の演目でも有名な「勧進帳」など、義経と弁慶に関しては、伝説がいくつもあります。

もちろんすべてが真実ではなく、大げさに脚色されたこともあるでしょうが、興味を持つ要素が強かったのだと思います。

「立往生」の意味と使い方

「立往生」の語源から考えると、立ったまま命を落とす人なんていませんから、他の意味として使われています。

「立往生」の意味は、

何かの原因により、前にも進むことができず、後ろに戻ることもできなくなること。

その場から動けなくなること。

どうしていいのかわからずに、その場に立ちすくむこと。

このような状態を表す言葉です。

たとえば、出発してから何かの原因で前に進めなくなって目的の場所まで行けなくても、出発点に戻ることができたのなら「立往生した」とは言いません。

前にも行けず、後に戻ることもできずに、その場に止まることしかできない状態を表すのです。

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「立往生」の類義語

「立往生」に類義する言葉を集めてみました。

「八方塞がり」は、昔から伝わる方位の八方が語源になっています。

悪いことが立て続けに起こる縁起の良くない状態を示す言葉なので、どちらにも進めずに解決策がないことを表します。

「足踏み状態」は、進むことができずに、その場で足踏みすることしかできない状態を表しています。

「足止めされる」は、その言葉の通り、足を止められるので前にも後ろにも動けなくなることです。

「釘付けになる」は、その場から動けなくなることです。

一般的な使い方としては「視線を釘付けにする」など、良い意味で強く惹かれたことを表す言葉として使われますが、動けなくなるという意味でも使える言葉です。

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弁慶に関する言葉

弁慶が由来になった言葉と言えば「立往生」の他にも有名なのがありますよね。

「弁慶の泣き所」です。

弁慶はとても屈強な男なのに、脛(すね)は急所なので、さすがの弁慶でも泣くほど痛いはずということから例えに使われたのでしょう。

「内弁慶」という言葉もありますね。

この言葉は「外地蔵」と組み合わせて使っていました。

家の中では偉そうな態度で威張っているのに、外ではお地蔵様のような穏やかな様子になるという二面性のある人のことを表す言葉です。

また、「七つ道具」も弁慶が由来だと言われています。

弁慶が身につけていた武器が7つあったので、それが語源になったという説があるのです。

まとめ

「立往生」は立ったまま絶命するという壮絶な様子が語源なので、その場から動けなくなることを表すのは、大げさな感じがします。

ですが、命を落とせば自ら動くことはできないので、その場から動けなくなることを表す言葉としては適格なのかも知れませんね。

しかし、弁慶が由来になった言葉が今の時代にもしっかり残っているとは、当時の武蔵坊弁慶は想像できたのでしょうか。

きっと驚いているかも知れませんよ。