最近はキッチンと呼ぶことが多いのですが、キッチンの名称は台所が一般的です。
昭和の世代のお母さんたちは、食事の支度などの家事を「お台所仕事」と言ってました。
もう少し古い世代になると、台所のことを「お勝手」と呼んでいることもありました。
なぜ調理をする場所を台所と呼ぶようになったのか、その理由を調べてみると、ちょっと面白かったのでご紹介します。
台所の語源
キッチンのことを台所と呼ぶようになった由来は、御所や貴族の生活からです。
調理をするところは、厨(くりや)と呼んでいました。
厨から厨房という調理場を指す言葉になっています。
一般的には厨房とは業務で使う調理場のことになっていますが、なぜ家庭の調理場のことは台所になったのでしょう。
その由来とされている説があります。
宮中では、脚付のお膳のようなものを使っていました。
それを台盤と呼んでいて、台盤に食べ物を盛りつけるの場所のことを台盤所と呼ぶようになり、いつしかそれが略されて台所になったと言われています。
御台所(みだいどころ)との関係は?
大奥のことを題材にした時代劇ドラマなどを見ていると、将軍の正室(正妻)のことを「御台所(みだいどころ)」と呼んでいます。
台所に御をつけて呼ぶなんて、不思議な感じがします。
これは、そもそも宮中で食事を盛りつけたりする役目は女官が担っていたため、女官たちに指示したり、管理する女性のトップのことを「御台所」と呼ぶようになり、いつしかその家の主の正妻のことを「御台様」と呼ぶようになったと言われています。
台所をお勝手と呼ぶ理由
台所と同じく、お勝手という呼び方も昭和のお母さん世代にはおなじみです。
玄関とは違う通用口のことを勝手口とも言います。
なぜ台所のことをお勝手と呼ぶのか、その理由を調べると、女性と男性の隔たりのようなものを感じました。
男子厨房に入らずという言葉があるように、男性が台所に入ることは控えることが習わしのような時代がありました。
これは女性を見下しているように感じていましたが、お勝手の由来を知ると、ちょっと違うことがわかってきました。
台所仕事をする女性が責任を持っている場所は、男性が入り込むと邪魔になります。
女性たちが勝手に取り仕切れる場所なので、台所のことをお勝手と呼ぶようになったという説が有力です。
お勝手だけは女性たちが男性に指示されたり、管理されることがないので、ある意味では女性にとって伸び伸び過ごせる場所なのかも知れません。
まとめ
台所がまさか宮中の言葉から生まれたなんて、調べないと知らないことなので、疑問に思うことは調べることが大切ですね。
台所のことをキッチン、居間のことをリビング、お手洗いのことをトイレと呼ぶのが当たり前の世代が増えているので、そのうち寝室やお風呂も言わなくなるのかも知れませんね。
でも、どうしてそうなったの?と疑問に思うことを調べる機会がなくなるのも寂しいので、残していきたいと思います。