「商人に系図なし」という言葉の意味を知っていますか?
商人とは商売人のことです。
商売をしている家の子供は、代々その商売を引き継ぐために育てられることが多く、何代目の呼ばれて家業を守ると思うのに、系図なし?
系図とは家系図のことで、その家の先祖代々を辿るための記録です。
代々続く商家では、家系図も数百年前から残っていることもあるのでしょうね。
では「商人に系図なし」という言葉の意味はどういうことなのでしょう。
今回は「商人に系図なし」の意味や使い方について解説します。
「商人に系図なし」の意味とは
「商人に系図なし」とは、商売で成功する秘訣について教える意味があります。
商売を始めようと思ったら、先祖の系図は関係ありません。
たとえば自分の親が武士や百姓だったとしても、商売で成功するのには何ら関係ないという意味なのです。
もしも数百年続く商売人の家に生まれたとしても、その家に生まれただけで商人として成功すると約束されたわけではありません。
つまり、先祖から商売を受け継がなくても、努力を重ねて手腕を発揮すれば商売人として成功できるという意味です。
「三代が身上潰す」などと昔から伝わる言葉があります。
初代が苦労している様子を見て育った二代目は、必死にそれを守るのですが、三代目になると初代の苦労を知らないので、道楽をして家を潰してしまうという意味です。
代々続く商売は、家業を守るために相当な苦労が必要だったので、老舗と呼ばれる店は貴重なのではないでしょうか。
「商人に系図なし」の使い方
「商人に系図なし」の使い方を例文で見てみましょう。
Aくんの送別会はすごく盛り上がってたね。
そうね。
Aさんは社内でも人気があった人だから。
それにしても、順調に出世してたのに突然辞めるなんて驚いたよ。
起業するなんて、勇気あるよね。
俺はAくんの親が会社経営してて、そっちを継ぐのかと思ってたよ。
ゼロからはじめるみたいよ。
でも何となくAさんなら成功しような気がする。
どうして?
商人に系図なしって言うじゃない。
努力家だし、仕事に対してすごく真面目だから大丈夫そうな気がするの。
たしかにな。
親の跡継ぎじゃなくても、立派な社長になりそうだ。
よし!これからも仲良くしておかなきゃな。
このような会話で使えます。
また、代々の商売人じゃない人がいきなり商売を始めることを応援したり、勇気付ける言葉としても使えますね。
「商人の子供はそろばんの音で目をさます」
「商人に系図なし」とは、相反するような意味の言葉があります。
「商人の子供はそろばんの音で目を覚ます」です。
この言葉の意味は、人の習性は育った環境によって影響を受けるということです。
商人の家の子供は、幼いころからそろばんの音を聞き、お金の計算や商売の損得などの話題を耳にしながら育るので、自然に商売人としての習性が身に付くということから、育った環境の影響力を表す言葉として使われます。
商売に成功するかどうかは、家柄や血筋ではなく本人の努力と手腕次第だという「商人に系図なし」とは相反する意味のように感じます。
ですが、どんな商売もゼロから始めた人がいるわけなので、「商人に系図なし」の意味を否定しているわけでもないのですよね。
子供の頃から商売の基礎を知らず知らずのうちに身につけていても、努力を怠れば失敗するので、対義する言葉とは言えないでしょう。
まとめ
「商人に系図なし」とは、商売に限ったことではなく、何か新しいことを始めるのに家柄は理由にならないということです。
努力して実力は、家柄に勝ると信じたいですね。