「狭き門よりは入れ」という言葉を聞くと、受験を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
入園、入学、就職など、試験を受ける時に使う「狭き門」は、「狭き門より入れ」という言葉が由来になっていると言われています。
「狭き門より入れ」とは、受験生のために生まれた言葉ではないので、本来はもっと広い意味で使えるはずです。
今回は「狭き門より入れ」の意味や使い方、また対義する言葉について解説しましょう。
「狭き門より入れ」の由来
「狭き門より入れ」とは、もともとキリスト教の聖書の中にある言葉です。
キリスト教では、天国につながる道はとても狭く、天国に行くためにくぐらなければいけない門もとても狭いとされています。
そこを通らなければ神様から救われないので、努力して狭い門を通らなければいけないという教えです。
大きな門のある道は滅びへの道なので、大きな門の方へ行ってはいけないという教えに続いています。
「狭き門より入れ」の意味
「狭き門より入れ」という言葉は、
何か目的を達成したり、事を成し遂げるためにラクな方法を選ぶよりも、あえて難しく、厳しい方法を選ぶ方が自分自身のためになる。
という意味があります。
自分を鍛えるためには、厳しい方法をあえて選ぶべきだという教えの言葉なのですね。
「狭き門より入れ」の使い方
「狭き門より入れ」の使い方を例文で見てみましょう。
就職活動はどうなんだ?
うん、頑張ってるよ。
まだアナウンサー志望を諦めていないのか。
諦めるわけないじゃない。
子供の頃からの夢なんだもん。
全国ネットの放送局のアナウンサーなんて、競争率が激しくて狭き門なんだから無理なんじゃないのか?
わかってる。
せめて地方の小さな放送局とかも保険で受けておきなさいよ。
妥協するならキッパリ諦めるから、とにかく頑張ってみるの!
そうか・・。
頑固なやつだな。
夢を掴むために頑張ってるんだから、応援してよ。
狭き門から入れって言うから、大学受験の時にもレベルの高い志望校に変更したの忘れたの?
あの時はすべり止めも受けてたじゃないか。
あのね、大学とは違うの。
就職はこれからの私の人生そのものなんだから。
ゆるゆるの大きな門をラクに通って後悔するのは嫌なの。
そこまで覚悟しているなら頑張りなさい。
このように、自分自身の覚悟を示す時に使えます。
他にも、
このような使い方をします。
「狭き門より入れ」の対義語
「狭き門より入れ」に対義する言葉を考えてみました。
厳しい道をあえて選ぶことに対義すると言えば「ぬるま湯につかる」ではないでしょうか。
ぬるま湯とは、熱くもなく冷たくもなく、人の体温とあまり差のない温度のお湯のことです。
熱さも冷たさも感じない温度なので、何の刺激もなく我慢の必要もありません。
親が子供を甘やかした環境の置いたり、自分がラクできる居場所にいることを「ぬるま湯につかる」と言います。
「狭き門より入れ」という言葉は「大きな門は破滅に向かう」という言葉が続くように、ラクをすることは結果的に自分を苦しめることになるという教えですが、これは「ぬるま湯につかる」にも通じています。
なぜなら、ぬるま湯に入ると、はじめこそ心地よく感じますが、長く浸かっても温まらないのでどんどん寒くなってしまいます。
温まらない状態のままぬるま湯から出れば、さらに寒く感じますから、ぬるま湯につかるのは後から自分を苦しめることになるのです。
「狭き門より入れ」と対義するようですが、伝えたいことは「ぬるま湯につかる」のも同じなのではないでしょうか。
まとめ
「狭き門より入れ」とは、ついラクな道を選びがちな自分自身に言い聞かせるためにもおぼえておきたい言葉です。
ラクな道の先には破滅があると思えば、狭き門でも努力して通れるように頑張った方が良いですよね。