「心の鬼が身を責める」ということわざを知っていますか?
鬼と言えば、恐怖や邪悪なものというイメージがあります。
鬼は昔話などでもよく悪者として登場しますから、心に鬼がいるのは悪人のことを表しているような気もしますが・・。
「心の鬼が身を責める」ということわざにどんな意味があるのか解説しましょう。
「心の鬼が身を責める」とは
「心の鬼が身を責める」とは、
良心にとがめられて苦しむこと。
という意味のことわざです。
いわゆる、良心の呵責のことですね。
心の中に鬼が棲んでいるから、良い人のように振舞っているけど、腹の底では悪いことを考えているという意味なのかと勘違いされることもあります。
ですが、心の鬼は良心にとがめられることなので、悪いことをしてしまった自分を許せずに、自分自身を責めることなのです。
小さな悪事くらいなら、黙っていれば済むと思っていたのに、隠していることに苦しむ様子を表しているので、心底の悪人ではないという意味なのです。
「心の鬼が身を責める」と似ている言葉
「心の鬼が身を責める」と同じような意味のことわざは他にもあります。
「心の鬼が物を言う」もほとんど同じ意味です。
「脛に傷持てば笹原走る」も似ていることわざです。
脛をケガしている人が笹腹を歩くと傷口に笹の葉が擦れて痛みを感じます。
だから、脛に傷がある人は、笹原をゆっくりと歩くことができないので、走り過ぎようとします。
何か後ろめたいことがある人は、世間を堂々と歩くことができずに、人目におびえてビクビクしながら慌てて走る様子を表しています。
「心の鬼が身を責める」も「脛に傷持てば笹原走る」も、心底の悪人ではないからこそ、後ろめたいことがあるなら隠さない方が良いと伝えているのでしょう。
「心の鬼が身を責める」の使い方
「心の鬼が身を責める」の使い方を例文で見てみましょう。
どうしたの?
何だか元気ないみたいだね。
そんなことないよ。
何か悩んでいるなら話してみなよ。
話せばスッキリするかも知れないから。
どうしようかな・・。
言ってみなよ。
誰にも言わないって約束してくれる?
うん、約束する。
誰にも言わないよ。
あのね、じつはAさんから誘われたの。
それでつい何度か食事に行ってしまって・・。
Aさんってあなたの同期のB子さんと付き合ってるんでしょ?
そうなのよ。
でもね、B子と付き合う前からAさんのこと好きだったのよ。
そうだったんだ。
でもさ、B子さんと付き合ってるのにあなたを誘うなんて、Aさんって悪い男だね。
誘われて浮かれてしまって、つい・・って感じだったの。
でも今はすごく後悔してる。
B子の顔を見る度に心が痛くて。
心の鬼が身を責めるってことなんだね。
でもさ、わざわざB子さんに真実を話して傷つけるのも可哀想だから、二度と誘われても行かないようにしなさいよ。
うん、もうこんな気持ちになるのは嫌だから。
きっぱり断るよ。
このような会話で使えます。
まとめ
「心の鬼が身を責める」とは、悪いことをしても後悔して、二度と同じことを繰り返さないようにするための教訓になることわざです。
小さな悪事でも、心の鬼がチクチクと責める痛みを忘れないようにしたいですね。