「茶碗を投げば綿で抱えよ」という言葉には、どんな意味があると思いますか?
茶碗を投げるのは、普通の状態ではありません。
夫婦喧嘩の時くらいでしょうか。
どこかの国では、陶器のお皿を投げて割るのを商売としているお店があるように、感情をぶつけてスッキリしたい時には、茶碗を投げたくなるのかも知れません。
しかし「茶碗を投げば綿で抱えよ」とは、投げる側の気持ちに立った言葉ではなさそうです。
どんな意味があるのか、解説しましょう。
「茶碗を投げば綿で抱えよ」の意味とは
「茶碗を投げば綿で抱えよ」とは、
強く出てくる相手には、同じように強気で向かうよりも、やわらかい態度で接した方が良い結果になる。
という意味の言葉です。
相手が怒っている時や、イライラして強い態度で向かってきた時に、同じように強い態度で接すれば間違いなくぶつかり合って争いが起こります。
しかし、怒っている相手に対してにこやかにやさしい態度で対応すれば、怒っている人も次第に気持ちがおさまっていくものです。
どんなにイライラしていても、にこやかに接する人には強い態度で当たり散らしたりできないのではないでしょうか。
人と接する時のコツを教えているのですね。
実際に夫婦喧嘩などで茶碗を投げつけられるようなことがあれば、もちろん綿の入った座布団などで受け止めないと割れてしまいます。
そんな様子を用いて、強い態度の人との接し方を伝えている言葉なのです。
「茶碗を投げば綿で抱えよ」の使い方
「茶碗を投げば綿で抱えよ」という言葉は、どんな時に使うのか例文で見てみましょう。
課長は随分とご立腹だったみたいだけど、今はニコニコしてるね。
そうね、最初はすごく怒ってたよ。
それがあっという間にニコニコしてる・・。
どうやったらああなるの?
簡単よ。
天使になった気持ちで、やさしい表情を浮かべてただうなずいていればいいの。
それであんなに怒ってのがおさまるの?
そういうものよ。
茶碗を投げば綿で抱えよってことを実行したまでのこと。
今度ぼくもやってみよう。
天使の笑顔を練習してね(笑)
このような使い方ができますね。
人の怒りをしずめるのが上手い人の様子を表す時に使えます。
「茶碗を投げば綿で抱えよ」の類義語
「茶碗を投げば綿で抱えよ」という言葉は、普段の生活の中ではあまり聞かなくなっているのですが、同じよな意味を持つ言葉は他にもあります。
類義する言葉の中には、聞き慣れたものもあると思います。
いくつかご紹介しましょう。
柔能く剛を制す
「柔能く剛を制す」は、いかにも強そうに見える者に弱い者が勝つことを表す言葉としてよく使われます。
強い者を剛と表して、弱い者を柔と表しています。
つまり、柔らかいものが剛強な力を受け止めて勝つということです。
剛強な相手には、同じように強さで向かうよりも、柔らかく受け止めた方が良いという意味ですね。
怒れる拳笑顔に当たらず
「怒れる拳笑顔に当たらす」とは、どんなに怒っている人でも、笑顔の人を殴ることはできないという意味です。
怒っている人には、笑顔で接することで、怒りの矛先が自分に向かってくるのを避けられるということでしょう。
尾を振る犬は叩かれず
「尾を振る犬は叩かれず」とは、逆らわずに従順な態度をしていれば、悪い扱いをされることはないという意味です。
犬が尾を振って人に懐いていれば、叩かれたり追い払われることもなく、可愛がられる様子を用いて表しています。
ひどい扱いをされたくなければ、逆らわずに従順な態度で接するようにすればよいという教えです。
「尾を振る犬は叩かれず」の類義語の「袖の下に回る子は打たれぬ」はこちらで詳しく解説しています。
まとめ
「茶碗を投げば綿で抱えよ」は「柔能く剛を制す」と同じように、人と接する時には相手を見て柔軟に対応することの大切さが込められているのです。
怒っている人に同じように怒りをぶつければ、大ゲンカになるのは目に見えていますよね。
怒っている人には、やわらかい表情と態度で怒りを包み込むように接するように心がけましょう。