「聞き取り法問」という言葉を知っていますか?
使う人がめっきり減っているので、大半の人は知らないと思います。
ですが、意味を知ると使える場面があるはずです。
意味を知っておいても無駄にはなりません。
会話に織り交ぜると、表現の幅が広がる言葉だと思います。
「聞き取り法問」の意味や由来、使い方などを解説します。
「聞き取り法問」の意味
「聞き取り法問」には、このような意味があります。
人から聞いたことを、あたかも自分が考えたことのように発すること。
こういう人ってどこにでもいますよね。
人から聞いた話なのに、まるで自分の考えや発想のように発表する人。
最近の言葉では「パクった」なんて言いますね。
誰かの考えやアイデアを自分の手柄にしてしまうようなことを「聞き取り法問」と呼ぶのです。
「聞き取り法問」の由来
「聞き取り法問」という言葉は、仏教が由来です。
法問というのは、仏教の修行の一つである問答のことです。
仏の教えをもとに、問いかけに対して答えるわけです。
相手が答えに困るようなことを問いかけ、その問いに対して答えるためには、仏教を深く理解する必要があるため修行として行います。
「聞き取り法問」とは、仏教を正式に学んだわけじゃなく、耳学問としておぼえることが由来になった言葉です。
仏教の修行は、法問だけではないので、部分的に耳に入ったことだけでは、深く理解することはできません。
ですが、法問は聞きかじったことだけでも成り立つことがあるため、「聞き取り法問」という言葉が生まれたのでしょう。
「聞き取り法問」は「聞き取り傍聞(ぼうもん)」ということもあります。
耳だけの知識というのが、さらに強調されますね。
「聞き取り法問」の使い方
「聞き取り法問」の使い方を例文で見てみましょう。
今日の朝礼でのA先輩、すごくイイ話をしてたね。
そう?
そうだよ。
私、ちょっと感動してしまった。
そんな大げさなことじゃないと思うけど。
そうかなぁ。
みんなのモチベーションを上げるような素晴らしい話だったよ。
すべてA先輩が考えた内容ならスゴイよ。
なにそれ、どういうこと?
あの話は、経営の神様って呼ばれている人の言葉なの。
ビジネス書とかによく引用されているよ。
なんだ、聞き取り法問だったのか。
まるで自分の言葉みたいな話し方するから、私はシラケちゃった。
この例文のようなシーンは、現実にもよくあると思います。
「なんだパクリだったのか」というよりも「聞き取り法問だったのか」と言った方が、子供っぽくないですよね。
「聞き取り法問」の類語
人の知識を自分のことにように話す意味の「聞き取り法問」は、今では使う人も少ないので、耳に馴染みがありません。
ですが、同じ意味の「受け売り」は耳慣れた言葉です。
人から聞いたことを、そのまま自分の知識のように話す意味の「受け売り」です。
ただし、最近では「人から着た話なんだけどね」という代わりに「受け売りなんだけど」という使い方をすることが増えているようです。
まとめ
耳だけで知識が豊富になることは、耳年増とか耳年寄と言います。
ですが、それだけではなく、聞いた話を自分の手柄としてすり替えてしまうのが「聞き取り法問」というのです。
他人の話をすり替えて発表してしまう人に出会ったら、思い出してくださいね。