「千金の子は市に死せず」という言葉は、日常会話の中で使う人は滅多にいないと思います。
聞いただけでは、この言葉の意味がすぐに理解できないという人もいるでしょう。
ですが、じつは私たちの暮らしている社会を表現する時になどに使える意味を含んでいるのです。
「千金の子は市に死せず」の意味、使い方、また同じような意味を持つ類語について解説します。
「千金の子は市に死せず」とは
「千金の子は市に死せず」とは
金持ちの子は、罪を犯しても金の力で刑罰を逃れることができるので、市中の刑場で死ぬことはない
と意味です。
千金の子とは金持ちの家の子供のことですね。
昔は罪人に刑罰を与える時には、わざわざ人を集めて見物させました。
市中の刑場とは、そういう場所のことです。
「千金の子は市に死せず」は、金持ちの子としていますが、子に限らず金持ちを指しています。
ただ、昔から親は子に甘いものなので、子供が罪を犯して刑を受けるくらいなら、お金の力で何とか免れようとした事例は絶えなかったのではないでしょうか。
そういうことがまかり通ったので、このような言葉が生まれたのだと思います。
「千金の子は市に死せず」の使い方
「千金の子は市に死せず」の使い方を例文で見てみましょう。
A先輩が約束の時間を間違えたせいで、先方が激怒して契約が白紙になっちゃったよ
最悪だね
それなのに、グループ全体の責任になってる
Aさんの親のこと知ってるでしょ?
そりゃもちろん
「千金の子は市に死せず」ってことはみんなわかってる
そんな理不尽なことが許されるなんて
世の中すべて金とは言いたくないけど、これが現実よ
このように、社会では生まれ育った環境によって特別扱いされるケースは多々あります。
そういう理不尽なことを目の当たりにする時に使える言葉なのです。
「千金の子は市に死せず」の類語
「千金の子は市に死せず」のように、金持ちが優遇されたり、不正をもみ消すようなことを表す言葉は他にもあります。
千金は死せず百金は刑せられず
「千金は死せず百金は刑せられず」とは、死刑になるような重い罪も千金あれば免れて、懲罰刑を受けるような罪を犯しても百金あれば逃れることができるという意味です。
裁判によって正しく処罰されなければいけないはずなのに、賄賂を贈れば裁判官すら動かすことができるということです。
地獄の沙汰の金次第
「地獄の沙汰も金次第」はよく見聞きする言葉です。
悪人でも罪人でも、閻魔様に大金を渡せば地獄行きを免れるという意味です。
銭ある者は生き、銭なき者は死す
「銭ある者は生き、銭なき者は死す」とは、どんな場面でも金の力が運命を左右するという意味です。
裁判官でも医者でも、大金を目の前にすれば気持ちが揺らぐので、同じ立場であれば金持ちの方が死から逃れられるということなのでしょう。
まとめ
お金さえあれば、どんなことも思いのままになるなんて、そんなことは認めたくありません。
しかし、現実を見るとそう言いたくなるようなことが山ほどあります。
たとえば、権力を持っている政治家などの不正がもみ消されることもそうでしょう。
そういう世の中を諦めてしまうと、ほんとに金が命を左右するようになってしまうかも知れません。
そんな世の中になるのは、ほんとに嫌な気持ちになりますね。
「千金の子は市に死せず」とは、社会のゆがみについて考えさせられる言葉だと思います。