「問うに落ちず語るに落ちる」ということわざは、後半の「語るに落ちる」だけを部分的に切り取って使われることが多いです。
前半の「問うに落ちず」がないと、このことわざが伝えようとしている意味がわからないはずです。
「語るに落ちる」だけしか知らないという方もいると思いますが、1つの言葉としての完成形として示している意味を理解しておきましょう。
今回は「問うに落ちず語るに落ちる」の意味や使い方などを解説します。
「問うに落ちず語るに落ちる」の意味とは
「問うに落ちず語るに落ちる」とは、
それなのに、自分から話している時には、用心する気持ちがゆるんでしまい、油断からつい秘密を話してしまうものだ。
このような意味のことわざです。
自分から話をするよりも、人の話を聞くのが得意な聞き上手な人と話しをしていると、つい油断して秘密を話してしまったなんて経験のある人はかなりいるのではないでしょうか。
相手が自分の話に興味を持って耳を傾けている様子を見て、つい調子に乗ってしまう・・という経験は、少なからずあると思います。
自分でも、秘密を話してしまったことに気が付かないほど、自然に口を開いてしまうので気を付けなければいけないという教えです。
「問うに落ちず語る語るに落ちる」の使い方
「問うに落ちず語るに落ちる」の使い方を例文で見てみましょう。
昨日、課長に誘われて飲みに行ったんだ。
その時、スゴイ話を聞いちゃったよ。
どんな話?
この前のA社との契約が成功したのは、課長の奥さんの人脈のおかげだったんだって。
そうなの?
奥さんって何者?
A社の創業者の親族だったんだよ。
そんなこと、社内では誰も知らないんじゃないの?
だと思う。
だって、学生結婚だったらしいから。
でも、そんな秘密をどうやって聞き出したの?
聞き出したわけじゃないよ。
恋愛相談とか、仕事の相談とかしてたら、気持ち良くなった課長が勝手にしゃべり出したんだよ。
今までプライベートなことは言わない人だと思ってたのに。
「問うに落ちず語るに落ちる」ってことだよ。
こっちから聞き出そうとしなければ、自分からしゃべるもんだよ。
聞き出すのが上手いんでしょ。
私も秘密を引き出されないように気を付けよ~っと。
このような使い方をします。
秘密に関する言葉
「問うに落ちず語るに落ちる」のように、人には知られたくない秘密に関することわざは、他にもあります。
いくつか集めました。
人の口には戸は立てられぬ
「人の口には戸は立てられぬ」ということわざは、よく知られています。
誰にも言わないと約束しても、その約束は守られることはないという教えです。
人の口には戸を立てて閉じることはできないので、誰にも知られたくない秘密は、絶対に人に話してはいけないという意味です。
口から出れば世間
「口から出れば世間」とは、どんなに口外しないで欲しいとお願いしても、人に話した時点で、その秘密は世の中に広めたも同然だという意味です。
駟も舌には及ばず
「駟も舌には及ばす」とは、口から出てしまったことは、どんなに慌てて取り消そうとしても、すでに世間に広まってしまうという意味です。
この「駟」とは馬を4頭立てた馬車のことです。
馬が主な移動手段だった時代では、早く移動できる乗り物でした。
早い馬車で慌てて追いかけても、舌には追い付かないということです。
秘密をうっかり話してしまい、慌てて口止めしようとしても、すでに世の中に広まっている可能性が高いということなのでしょう。
人は言わぬが我言うな
「人は言わぬが我言うな」とは、秘密にしたいと思っているのに人に知ら渡る原因は、人ではなく自分自身だという意味です。
自分から洩らさなければ、秘密が広まるはずはないからです。
秘密を守るためには、くれぐれも自分の口から洩らさぬように、気を付けなければいけないという教えの言葉です。
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まとめ
「問うに落ちず語るに落ちる」ということわざの意味を知って、自分にも身に覚えのある人は少なくないのではないでしょうか。
秘密が知れ渡る原因は、その秘密を自分一人の胸にしまっておけなかったからです。
自分が原因なのに、人を責めてはいけませんよね。
どんなに聞き上手な人が、上手く誘導したとしても、秘密はしゃべらないように気を付けましょう。