「けりをつける」といえば、
「今度こそ、あいつとの勝負にけりをつけてやる」
というような、決着をつけるという意味で使われる慣用句です。
あまりにも日常的に使われる言葉なので、「けりをつける」の「けり」とは何のことなのか?なんて疑問に思うこともないでしょう。
それほど広く浸透している言葉なのですよね。
今回は「けりをつける」の「けり」の語源について解説します。
「けりをつける」の語源
「けりをつける」の意味は、物事の終わりや結末、決着です。
「けりをつける」というのは、何か争いごとに決着をつける時などによく使われるので、荒っぽいことが語源になっていると思われるかも知れません。
ですが、この「けり」とは俳句や和歌などの終わりに「~~なりけり」とつけられることが語源になっています。
俳句や和歌の終わりにつける「けり」が、物事を終わりにするという意味の「けりをつける」になったのです。
争いごとや勝負事などで勝敗がつかなくて終わりが見えない時などに、「けりをつける」というのは、争いを終わりにする気持ちを表すために使われているわけです。
人との争いごとに決着をつけるという意味の言葉になったのに、由来は何とも優雅な和歌や俳句からだったとは・・・。
意外に思った方も多いのでは。
「かたをつける」との違いは?
「けりをつける」と似た言葉として「かたをつける」があります。
「かたをつける」も、決着をつけるという意味で使っている人も多いのではないでしょうか。
たしかにどちらを使っても、同じ意味のように感じてしまいますよね。
ですが、「かたをつける」の語源は「形」や「型」からだと言われています。
形や型をつけると、見分けやすくなり、整理整頓しやすくなるので「かたづける」という慣用句もあります。
「かたをつける」とは「けりをつける」のように決着をつけて終わりにするのではなく、物事を明確にするという意味なのです。
争いごとの決着をつけるという意味では「かたをつける」ではなく「けりをつける」を使うのが正しいようですね。
「けり」と「かた」の使い分け方
「けりをつける」と「かたをつける」は同じ意味として使われているため、どちらでも間違いとは言えなくなっています。
ですが、まったく同じ意味ではないので、正しく使い分ける方法をまとめてみました。
例えば、実力がほぼ同じくらいの2人のボクサーがいたとします。
これは次の試合でどちらが強いのか明確にするという意味なので、「かたをつける」を使います。
これは早々に決着をつけて試合を終わらせるという意味なので、「けりをつける」を使います。
はっきりさせる=「かたをつける」
このポイントで使い分けましょう。
まとめ
「けりをつける」の語源が和歌や俳句の「~なりけり」からだったなんて、実際に使っている人たちの感情とはかけ離れている由来だと思います。
言葉の由来を知ると、使う場面を選ばないといけない気がしてきますよね。
当たり前に使う言葉の語源を知ると、意味を理解しやすくなるのではないでしょうか。