【かんぷなきまでに】という言葉にはどんな意味があるの?

ことばの意味

「かんぷなきまでに叩き潰す」なんて言うのは、映画のセリフみたいですが、よく聞きますよね。

戦う前の気持ちを表す言葉として使われます。

普通に生活している人には、あまり縁のない言葉かも知れませんが、よく聞く言葉なので意味や語源を知っておくのは無駄にならないと思います。

今回は「かんぷなきまでに」という言葉の意味や由来について解説します。

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「かんぷ」とは

「かんぷなきまでに」という言葉の「かんぷ」を漢字にすると「完膚」です。

この文字を見ると想像できると思いますが、完全の「完」と皮膚の「膚」で「完膚」です。

「完膚」の意味は文字通り、完全な皮膚ということです。
つまり、傷やあざなどが1つもない皮膚のことを「完膚」というのですね。

「完膚なきまでに」とは

「完膚」の意味がわかれば、「完膚なきまでに」という表現も理解できますよね。

「完膚なきまでに」とは、戦う相手の皮膚に傷やあざのない部位がなくなるくらいまで、徹底的にやるという意味なんです。

そこから相手が立ち上がれない状態になるまで、徹底的にやりこめることを「完膚なきまでにする」などと言うようになったのです。

まったく相手にしないという意味の言葉はこちら。

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「完膚」の語源とは

完全な皮膚のことを「完膚」というのは、中国から伝わっています。

唐の時代の戦いを記した書物の中にある一説の「完膚無し」という表現が「完膚なきまでに」の由来になったと言われています。

「完膚なきまでに」に類義する言葉

「完膚なきまでに」のように、実際に傷を負わせるわけじゃなくても、戦意を表す言葉は他にもあります。

もともとは戦いの場面で生まれた言葉も時代の流れとともに使う場面は変化します。
相手に対する戦意を表す言葉として、「完膚なきまで」に重なる言葉を探してみました。

袋叩き

「袋叩きにしてやる」なんて言いますよね。
袋に入れて抵抗できない相手を叩くことですが、実際には袋に入れるわけではありません。

1人を何人もで囲って、袋で覆うようにして痛めつけることを「袋叩き」というのです。

実際に叩くわけではなく、多人数で1人を取り囲むようにして批判や非難を浴びせることを「袋叩き」ということもあります。

1人を大勢で攻撃するなんて、正々堂々とした戦いに向かう前の気持ちを表現する言葉としては、適していないような気がしますね。

どちらかといえば、計画的に策を練って、1人を多数で陥れるような手段で戦う時に使う言葉ではないでしょうか。

ぐうの音も出ない

「ぐうの音も出ない」という言葉は、負けた側が降参する意味で使いますが、戦う前に敵に対して「ぐうの音も出ないようにしてやる」ということもあります。

「ぐう」とは、唸るように息の詰まった時に出す音を表しています。

負けた時の悔しさや苦しさから、思わず漏れてしまうような息の音ですら出せないほど徹底的にやりこめられることを「ぐうの音も出ない」というのです。

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まとめ

「完膚なきまでに」という言葉は、戦いに向かう前に自分を奮い立たせるために使うことが多いですよね。

戦いに情け容赦もないということなのでしょうが、全身くまなく傷を負うことが「完膚なき」という意味だとわかると、簡単に使ってよいのかしら・・と思ってしまいました。