斜に構えるという言葉は、斜めという意味ばかりが先走ってしまい、本来の意味とは違う使われ方をしています。
もともとの意味とは違う使われ方をする、いわゆる誤用はそれが当たり前に世の中に定着すると、間違いも正解になってしまいます。
困ったもので、そうなると本来の意味の方が忘れ去られてしまうのです。
斜に構えるという言葉も本来の意味を知らない人の方が増えてきました。
ここでは、斜に構えるという言葉の本来の意味から正しい使い方をご紹介します。
斜に構えるとは
斜に構えるという表現の語源は、刀を斜めに構える動作から生まれました。
剣術(剣道)では、刀を斜めに構えるのは、責める前の体勢だったり、防御の体勢などのことです。
その姿勢から生まれたのが、「斜に構える」という慣用句だったのです。
意味は、事にあたる前に改まった態度になること、身構えることです。
何か大切なことに向かって行動する前に、改まった態度で備えることを斜に構えるというのです。
斜に構えるの本来の使い方
斜に構えるというのが改まった態度でこれから起こることに備えるという意味であれば、本来の意味で正しい使い方をすると、どうなるでしょうか。
例を考えてみました。
「これから取引先と大事な交渉があるんだ。きっと難しい条件を出されるだろうから、斜に構えて向かうことにする。」
こんな感じになるのでしょう。
斜に構えるの現代の使い方
斜に構えるの意味が、今は本来の意味と変わっています。
今は多くの人が、物事に対して真正面から見ないことや、真面目に取り組まないというような不真面目な態度や様子に対して使うようになっています。
「斜に構えていないで、真面目に向き合いなさい」とか「斜に構えているから周りから誤解されるんだ」というようなネガティブなイメージを与える態度に対して使います。
本来は物事に対して改まった態度で備えるという意味なので、随分と変わってしまったものです。
なぜ本来の意味とは違う使われ方をするようになったのか、その由来はわかりません。
斜と言う字は斜めという傾いた状態のことを表現するので、素直に真っ直ぐな性格ではなく、少しひねくれた性格のことを表現するのに適していると思われたのではないでしょうか。
推測の域ですが、皆さんはどう思われるでしょう。
まとめ
斜に構えるという言葉が、剣術や剣道から生まれた言葉というのは、今ではほとんど知られていないのでしょうね。
語源を知ると今の使われ方が間違いだったことがよくわかります。
間違いが定着すればそれは間違いではなくなるので、今さら本来の意味で使う方が勘違いされるのには困ったものですね。