大人数(おおにんずう)と多人数(たにんずう)という2つの言葉があります。
この2つの言葉は同じ意味だと思いますか?
「こんなに大人数で押し掛けてすみません」とか「多人数では混乱する」など、どちらも人数が多いことという意味で使われていると思います。
しかし、なぜわざわざ大人数と多人数という2つの言葉があるのでしょう。
また人数が多いという意味の言葉の対義語も2つあるのか・・。
調べてみた結果です。
「大人数」と「多人数」の意味
「大人数」と「多人数」の2つの言葉は、それぞれ意味が違うのか、まずはそこから始めます。
「大人数」の意味は、
通常考えられる人数よりも多いこと。
予想よりも人数が多いこと。
際立って人数が多いこと。
このような状態を表します。
ただ人数が多いというだけじゃなく、誰もが思っていた以上に・・のような驚くほどの人数を表す意味として使うのです。
では「多人数」の意味は、
人数が多いこと。
大勢の数の人たちのこと。
このように、多数の人を表す言葉です。
こう比べてみると、同じような意味ですが、わずかに違うのですよね。
「大人数」の方が、人が沢山いる様子を思い浮かべます。
「多人数」は、人の数が多いことを淡々と表しているだけのように感じるので、沢山の人がいることを伝えたいのなら「大人数」を使った方が良いのではないでしょうか。
それに、一般的には会話の中で大勢の人を表す時には「多人数」という言葉を使うことは少ないと思います。
圧倒的に「大人数」を使う人の割合が高いので、「多人数」との使い分けのルールも考える必要もなくなっているのではないでしょうか。
対義する言葉も2つあるのか
「大人数」と「多人数」という2つの表現があるのですから、対義する言葉も2つあるのが当然なのですが・・。
大勢の人という意味の反対の言葉といえば「少人数」しか思いつかないのではないでしょうか。
ほとんどの人が「大人数」の反対の言葉は「少人数」だと思い込んで使っているはずです。
しかし、「少人数」の反対の言葉は「大人数」ではなく「多人数」なのです。
漢字の意味を見ればわかりますが、「多い」の反対は「少ない」なので、「少人数」の対義語は「多人数」です。
ということは、「大人数」の反対の意味は何というのか・・。
この答えは「小人数」です。
「こにんずう」と読みます。
「小人数」なんて聞いたことがないという人が多いでしょうが、国語辞典にも載っている言葉です。
「大」の反対は「小」なので、「大人数」の反対は「小人数」なのです。
ですが、あまりにも「大人数」の反対の意味として「少人数」が使われるので、今では「大人数」と「少人数」だけが使われているため、どちらを使っても間違いではなくなりました。
使われている漢字を見れば、反対の意味もわかるはずなのに、聞き慣れない言葉はどんどん片隅に追いやられてしまうようですね。
まとめ
「大人数」と「多人数」の意味が微妙に同じではないことや、反対の意味の言葉が入れかわっていることなど、疑問にも思わずに使っています。
それがほとんどの人に広まれば、誤用でも正しくなる言葉をまた1つ見つけてしまったようです。
「多人数」はまだたまには聞く機会もありますが、「小人数(こにんずう)」は滅多に聞かないので、忘れないようにしたいと思います。