ヤラセとサクラは同じ意味の言葉ではないの?それぞれの語源は!

ことばの意味

昔のテレビは子供が見ていても「これは嘘でしょ」と思うような演出が平然と行われていました。

子供騙しではなく、子供すら騙されないほどわかりやすいヤラセの演出が日常茶飯事だった時代もあったのです。

最近はそういうことに厳しくなっているので、演出なのかヤラセなのかが微妙な感じではダメなようです。

とくにドキュメンタリー番組などで過剰な演出はされたりすると、問題になったりしますよね。

ドキュメンタリーとは、映像としての記録ということなので、撮影者が指示して演出してしまえば、記録ではなくなってしまうからです。

一方のサクラですが、仕込まれている人のことです。

演出のために仕込んでいる人なので、ある意味ではヤラセと似通っています。

しかしヤラセとサクラのそれぞれの意味や語源を見てみると、共通する点と違う点がわかります。

また、ヤラセやサクラという言葉の語源についても見てみましょう。

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ヤラセの意味

ヤラセとは、事実とは異なるように捏造したり、演出しているにもかかわらず事実として見せることです。

このヤラセという言葉が世の中に広まったのは、テレビ番組のヤラセ問題が続出したためです。

視聴者の興味を引くように演出したり、盛り上がる内容に見せるために作為したテレビ番組が多数ありました。

たとえば50代以上なら記憶に残っている人も多いでしょうが、ジャングルなどを探検して、幻の巨大生物などの正体を突き止める番組が大人気でした。

しかしほとんどがヤラセだとわかるような内容だったので、今それを見ると信じられないほど嘘っぽい演出です。

それでも視聴者には演出だと伝えられずに、事実のように見せて伝えようとすることがヤラセなのです。

今では考えられないことですが、テレビ業界の倫理も時代とともに変化してきたのでしょうね。

サクラの意味

サクラとは、偽客とか仕込み客、おとり客のことです。

露天での商売が盛んだった時代には、仲間に偽客を演じてもらい、周囲の人の注目を集めていました。

露天とは、今ではお祭りなどの屋台の露天商をイメージしますが、昔はお店を持たずに商品を売る人たちのことです。

今でも実演販売という手法がありますが、それと同じです。

実演販売を観察しているとわかりますが、誰か1人が前に立って実演を見始めると、通りかかった人も「なになに?」と興味を持って立ち止まることがあります。

人を立ち止まらせるために仕込むのがサクラだったのです。

芝居でも仕込みの客が掛け声をかけたり声援を送ったりして、その芝居が盛り上がっているように見せていました。

このように、本当の客ではなく、仕込まれた客がサクラなのです。

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ヤラセの語源

ヤラセの語源は、言葉の通りですが、もともとはテレビ業界の隠語でした。

ただ、隠語というのは聞いただけでは意味がわからないはずですが、ヤラセは意味を説明されなくてもほとんどの人が理解できるのではないでしょうか。

事実ではなく演出として「やらせる」ことが言葉の由来です。

サクラの語源

サクラの語源はヤラセとは違い、いくつかの説があります。

もともと露天商などの隠語として生まれた言葉ですから、明確な語源が記録として残っているわけではないのです。

ヤラセよりもずっと古くから使われてきた言葉なので、語源もハッキリと断定できません。

有力な説は2つあります。

1つは咲く桜が語源という説です。
桜の花は咲き始めるとあっという間に散ってしまいます。

偽客として仕込まれた人たちも、パッと散り散りにいなくなっていくので、その様子がサクラの語源と言われています。

2つ目は、仕込み客が対価を受け取っていたことから、労働を意味する「作労(さくろ)」からサクラになったと言われる説です。

どちらが正しいのがわかりませんが、一般的には桜の花が語源として広まっています。

まとめ

ヤラセは言葉の響きも怪しげで、いかにも悪いことだと聞いただけでわかります。

しかしサクラは花の桜を真っ先に連想させるため、悪い印象を与えにくいのかも知れません。

そう考えると、業界用語として生まれる言葉がこの先も残っていくのであれば、センスの良い言葉がいいですよね。

隠語を考える人のセンスは重要だと思います。