よく考えればわかるはずなのに、つい使ってしまうのが二重表現です。
二重表現をわかりやすく伝えるために「頭痛が痛い」という例が使われることがあります。
さすがに「頭痛が痛い」は変だな?ってわかるのですが、「一番最初」なんてよく使ってしまいます。
最初は一番初めのことなので、「一番最初」というのは二重表現です。
でも、ついつい使ってしまうんですよね。
正しくは「最初に」か「一番に」なのに・・。
今回は、「一番最初」みたいに何となく使っている二重表現を集めてみました。
「一番最初」のような二重表現
よく考えれば二重表現だとわかっているのに、つい使ってしまうのは、すでに世の中で1つの言葉として浸透してしまった言葉が多いからだと思います。
「頭痛が痛い」のように、よく考えなくても変だとわかれば使いませんよね。
ですが、「一番最初の人は~」とか「一番最初に言い出したのは」など、何の疑問も抱かずに使っている言葉もあります。
違和感なく使ってしまう二重表現とは、どのような言葉があるのでしょうか。
思いがけないハプニング
「いや~驚いた。まさかこんな思いがけないハプニングが起こるとは」なんて表現は二重表現です。
happening(ハプニング)は、思いがけない出来事という意味の言葉なので、ハプニングの前に思いがけないという言葉を重ねる必要はないのです。
英語と日本語を重ねてしまう二重表現は、意外と気が付かないのではないでしょうか。
えんどう豆
「えんどう豆を美味しく食べるレシピを教えて」とか普通に使っている人がほとんどだと思います。
私もえんどう豆って言ってしまいます。
でも、えんどうを漢字で書くと豌豆です。
つまり、えんどう豆となると、豆×豆になってしまうので、えんどうだけで豆の品種を指しているのです。
スーパーなどで売っているえんどうには、何と書かれているのかチェックしてみましょう。
各家庭ごとに
「食事の習慣などは各家庭ごとに違うから」など、各家庭に「~ごと」という言葉を重ねるのは二重表現です。
「それぞれ」という意味の「各」と、「個々」や「ひとつひとつ」という意味の「~ごと」は同じです。
炎天下のもと
「炎天下のもとで長時間作業するなんて、熱中症になってしまうよ」など、真夏になるとよく使う「炎天下のもと」というのは二重表現です。
炎天下は、炎天の下という意味なので、「炎天下のもと」は「~の下(もと)」が2つ重なってしまいます。
「炎天下で長時間作業する」と表現するのが正しいのですよね。
IT技術
IT産業とかIT業界など、よく使われる言葉ですが、ITとはInformation Technology(インフォメーション・テクノロジー)の略語です。
テクノロジーは技術という意味なので、IT技術は二重表現なんですよね。
「IT技術を駆使して~」などと使ってしまいますが、気を付けないといけません。
今現在
「私は今現在、地元でボランティア活動をしています」など、よく耳にしますよね。
ですがこれも二重表現です。
「現在」は「今」のことなので、同じ意味の言葉を2つ並べているのです。
よく考えればわかるのですが、つい使っている二重表現ではないでしょうか。
過半数を超える
選挙速報などで言葉のプロであるアナウンサーも使っているような気がします。
「○○党の議席数が過半数を超えました」というのは二重表現です。
「過半数」だけで半数を超えるという意味なので、さらに「超える」を付ける必要はありません。
「過半数になる」という表現が正しいのです。
挙式をあげる
「結婚式をあげる」なら正しいのですが、「挙式をあげる」は二重表現です。
「挙式」は式を挙げるという意味の言葉なので、同じ意味を重ねることになってしまいます。
「挙式する」という表現と「結婚式をあげる」という表現がごちゃ混ぜになってしまったのでしょうね。
射程距離に入る
「ついに射程距離に入った」などと使っている人が多いと思いますが、「射程」は矢や弾が届く距離のことです。
「射程」だけでその距離を表しているので二重表現なのです。
「射程に入る」というのが正しい表現です。
これも無意識に使われることが多いので、気を付けたいですね。
古来から
「このしきたりは古来から続いていて」など、「昔から」という意味で「古来から」と表現してしまうことがあります。
私自身もとても頻繁に使ってしまいますが、これも二重表現です。
「古来」という言葉は「古くから」という意味なので、「~から」を付け加える必要はないのです。
気を付けたいと思うのですが、つい使ってしまいそうです。
凱旋帰国
「金メダリストたちの凱旋帰国に大勢の人たちが集まりました」など、よく耳にします。
ですが、「凱旋帰国」も二重表現です。
「凱旋」とは、「帰ってくる」という意味なので、「国に帰る」という意味の「帰国」を重ねれば二重表現です。
「母国に凱旋する」であれば二重表現にはなりません。
享年○○歳
「享年」は亡くなった方が生きた年数表す言葉なのです。
つまり、年齢と重なります。
「享年○○歳」と「歳」をつけるのは二重表現です。
「享年○○」だけです。
「享年」ではなく「行年」を使う場合は「歳」を付けるので、そこで間違えやすいのではないかと思います。
享年=0歳はなく生まれた時に1歳と数える
行年=満年齢で数える
満天の星空
「都会では見ることのできない満天の星空」など、美しい星空を表す時に使う「満天の星空」ですが、二重表現なんですね。
「満天」とは「広い空」とか「空いっぱい」という意味です。
「星空」をつけると「空」が重なってしまいます。
「満天の星」が正しい表現です。
酒の肴
「これは酒の肴にピッタリだ」などとよく使われますが、これも二重表現なんですよ。
「肴」だけでお酒のつまみという意味なので、わざわざ「酒の」を付ける必要はないのです。
これも意識しないとつい使ってしまいますよね。
遺産を残す
「遺産を残すことで子供たちが争いを起こしてほしくない」など、普通に使われていると思います。
ですが、「遺産」は「のこされた財産」のことです。
なので、「遺産を残す」や「残された遺産」は二重表現です。
正しくは「遺産がある」です。
時速○○キロのスピード
「この道路は時速○○キロのスピードは違反だから」など、時速○○キロにスピードをつけてしまうことがありますが、これは二重表現です。
時速○○キロは、スピードを示しているので、わざわざスピードを付け加える必要はないのです。
お互いに交換する
「プレゼントをお互いに交換しよう」とか「お互いに名刺交換する」など、「交換」に「お互い」は要りません。
「交換」はお互いがやり取りするという意味ですから、「お互い」をつけると二重表現になってしまいます。
あらかじめ予約する
「忘年会の会場をあらかじめ予約するから、参加人数をまとめて」など、「予約」に「あらかじめ」を付けてしまうことがあります。
ですが、「予約」はあらかじめ約束することなので、「あらかじめ」は不要なのです。
いまだ未解決
「事件から10年以上経っているのにいまだ未解決だ」などと使われますが、「未解決」に「いまだ」は必要ない言葉です。
「未解決」だけでいまだに解決していないという意味があるので、「いまだに」を重ねるのは二重表現です。
すべて一任する
「今回の案件はあなたにすべて一任する」というのは、二重表現だとわかりますよね。
「一任する」とは、すべてを任せるという意味です。
「すべて一任する」では、同じ意味が重なる部分があるので、「一任」だけが正しいのです。
数奇な運命
数奇とは、巡り合わせが良くないという意味です。
運が悪い、不幸な運命、巡り合わせが悪いということです。
数は運命のこと、奇は食い違うことです。
数奇だけで運命の巡り合わせが良くないという意味なので、数奇な運命は二重表現なのです。
ある時期によく聞く二重表現
年末年始の頃によく耳にする二重表現もありますね。
元日の朝は「元旦」なのに「元旦の朝」というのもおかしいのですが、つい使ってしまいたくなります。
クリスマスイブはクリスマス前夜のことなのに、「クリスマスイブの夜」というのも、無意識に使っていそうな二重表現です。
クリスマスの時期からお正月にかけて、二重表現があちこちで聞かれるのに、違和感もないほど浸透してしまったのでしょう。
まとめ
つい使ってしまう二重表現を集めてみました。
「私が一番最初だから」とか「一番最初にスタートします」のように、何も考えずに使っている言葉がたくさんあるのですね。
今回ご紹介した二重表現以外にも、まだまだありますよね。
言葉の意味を考えれば、おかしな表現だとわかるので、言葉を発する時は気を付けたいと思います。