「石のもの言う世の中」ということわざを聞いたことがありますか?
このことわざは、昔も今も世の中によくあることを表す言葉として使われてきました。
ただ、「石のもの言う世の中」という言葉が生まれた時と今とでは、意味が少し変化してしまったようです。
今回は、「石のもの言う世の中」という言葉の意味や使い方について解説します。
「石のもの言う世の中」とは
「石のもの言う世の中」という言葉には、
秘密は簡単に漏れてしまう。
という意味があります。
石はものを言うはずありませんよね。
その石さえものを言うかのように、秘密は世の中に簡単に広まってしまうと例えているのです。
秘密が漏れやすいことを伝えることわざは他にもありますが、同じように「石」を使っているのが「石に耳あり」です。
石には耳はありませんが、石にも耳があると思っていなければ、簡単に秘密が漏れてしまうだろう・・と伝えているのです。
秘密に関することわざ
「石のもの言う世の中」や「石に耳あり」と同じように、秘密は漏れやすいものだという意味のことわざは他にもあります。
いくつかご紹介します。
戸にも口がある
「戸にも口がある」とは、どんなに秘密にしようとしていても、秘密というのはどこかから漏れてしまうものだ。
このような意味があります。
戸を閉めて秘密の話をしていても、なぜか秘密が漏れるのだから、戸にも口があるのではないか・・という意味でしょう。
壁に耳あり障子に目あり
隠し事をヒソヒソ話していても、人は秘密を知りたがるものです。
「壁に耳あり障子に目あり」とは、秘密の話をする時には、壁に耳を当てて盗み聞きしたり、障子紙に穴を開けて盗み見するような人間がいるかも知れないから、気を付けなければいけないという教えです。
昼には目あり夜には耳あり
「昼には目あり夜には耳あり」とは、秘密にしようとしても昼は人目があり、夜は物音がなくなり静かになるので、秘密が聞こえやすいので、秘密は漏れやすいという意味です。
「石のもの言う世の中」の本来の意味
「石のもの言う世の中」は、秘密は世の中に漏れやすいという意味のことわざとして使われています。
その意味が定着しているので、間違いではありませんが、本来は違う意味として使われていたので、誤用だったのです。
本来の意味は、普段は権力のあるものに従がっているが、悪政をするようなものに対しては、民衆も黙っていないという意味だったのです。
石のように、不平や不満を言わなかった民衆も、悪の権力者に対しては声を上げるという意味の言葉として生まれたのです。
いつのまにか、意味が変わってしまったのですね。
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まとめ
「石のもの言う世の中」ということわざには、現在使われる意味とは違うことを伝えるための言葉だったのです。
現在の使われ方も悪くないですが、もともとの意味がとても深いので、できれば本来の意味に戻って欲しいと思ってしまいました。
みなさんは、どう感じたでしょうか。