紅一点といえば、たぶん日本人の大半が「男ばかりの中に女の人がただ一人いること」と答えるのではないでしょうか。
それは間違いではありません。
今はその意味として使うのが一般的なので、それが間違いではないのです。
ですが、そもそも紅一点という言葉が生まれたきっかけにさかのぼってみると、どうやら男の中に女がいるというだけではなさそうなのです。
紅一点の由来とは
紅一点というのは、今の中国が宋の時代に作られた句の中から生まれた言葉です。
王安石という人物の詩の中に「万緑叢中紅一点」という句があります。
この句の意味は、青葉の中に赤い花がただ一つ咲いている様子を表現しています。
赤い花はザクロだったそうです。
青々とした葉の中に赤い花がポツンと咲いている様子は、頭の中で想像するだけでも美しさが際立っていることがわかります。
紅一点という言葉が生まれたのは、その句がきっかけだったのです。
紅一点のもともとの意味
紅一点という言葉が生まれた由来から、慣用句として使われるようになった時には、男ばかりの中に女がただ一人いることとは限らず、周りから際立って目立つような存在に対して紅一点を使っていました。
ひときわ目立つ存在であれば、それは男性でも使える言葉だったのです。
他とは違う才能があるとか、異彩を放つオーラのような存在感のある人には、男女問わず紅一点と表現できたのです。
その後、徐々に「紅」という字が女性の華やかさを連想させるため、男性の中で目立つ女性に対して使われるようになり、今では紅一点は男の中にいる女性として定着してきたわけです。
紅一点と同じ意味の言葉
紅一点の意味が男性の中で目立つ女性として定着し過ぎているので、男性に対しては紅一点とは使えなくなってしまいました。
「本来の意味は違うのよ」といちいち説明するのもめんどくさい話です。
では、紅一点と同じような意味の言葉は他にないのか・・と探してみました。
「掃き溜めに鶴」とか「鶏群の一鶴」などが似ている意味なのではないでしょうか。
いずれも鶴が出てくるのは、美しい鳥の象徴として相応しいからでしょう。
それに鶴は縁起の良い生き物でもあります。
「掃き溜めに鶴」はよく使われますが、「鶏群の一鶴」もわかりやすい言葉です。
にわとりの群れの中に一羽の鶴が入れば、ひときわ目立ちますから。
まとめ
紅一点という言葉の由来を知っても、今の世の中では男性の中で目立つ女性に対して使う以外には使いにくくなってしまいました。
これも時代の流れによって積み上げられてきた結果なので、あえて逆らわない方が余計な波風を立てないのかも知れません。