コンサートとリサイタルは、どちらも演奏会のことですが、なぜ2つの言葉があるのか不思議に思ったことはありませんか?
コンサートはアイドルやポップスなどが行うもので、リサイタルは演歌歌手とか・・。
そんなザックリした感じで分けているようなイメージもありますが、あまりにもザックリし過ぎですよね。
2つの言葉があるのですから、やはり違いがあると考えるのが自然です。
コンサートとリサイタルは、どう使い分ければいいのでしょうか。
コンサートとリサイタルには、どんな違いがあるか。
この2つの言葉の違いや、正しく使い分けるポイントを解説します。
コンサートとリサイタルの違い
コンサートとリサイタルの違いを理解するために、それぞれの意味を見てみましょう。
コンサートとは
コンサートは、複数の演奏者や歌手による公演のことです。
オーケストラの公演などは、多人数による演奏会なので、コンサートとです。
でも、アイドル歌手が1人で唄う公演のこともコンサートと言いますよね。
多人数じゃなくてもコンサートと呼ばれるようになっているので、コンサートの定義が崩れてしまったのです。
ただ、1人の歌手のバッグにコーラスやバンドがいることもあるので、コンサートが間違いだとは言い切れないのが紛らわしいところですね。
リサイタルとは
リサイタルは、多人数ではなく、1人で行う独奏、独唱の公演のことです。
コンサートが多人数なのに対して、リサイタルは1人なのでわかりやすいと思いますが、1人ではなく、少人数の公演の場合もリサイタルと呼びます。
リサイタルではなく「ソロコンサート」と呼ぶこともあります。
1人で歌唱や演奏を行うことなので、リサイタルと同じように思いますよね。
これもまた曖昧な定義なので正解はないのですが、普段は複数のグループで活動している人が1人で歌唱や演奏を行う場合は「ソロコンサート」ということが多いようです。
使い分けるポイント
コンサートとリサイタルを正しく使い分けるポイントは、人数の違いです。
多人数はコンサート、少人数はリサイタルと使い分けます。
ただ、ここで問題になるのは、多人数と少人数の線引きです。
オーケストラのように、誰もが多人数とわかるのなら迷いませんが、2人~5人程度はどうなのでしょうか。
何人からコンサートになるという決まりがあるわけではないようですが、2人で行う演奏会をジョイントリサイタルと呼ぶこともあるので、基本的には1人で行う公演はリサイタルと考えれば迷わなくなると思います。
ピアノだけの演奏会であればリサイタルとし、オーケストラと一緒にピアノの演奏をするのであればコンサートとなります。
ただし、コンサートとリサイタルを演者の人数で分けるのは、クラシックのジャンルだけです。
他のジャンルの音楽では、人数でコンサートとリサイタルを分けることはありません。
前述のように、グループの中の1人が単独で行う公演のことを、ソロコンサートと言います。
ソロコンサートは、ポップスやロックなど、クラシック以外で使われています。
1人なのにコンサートと呼ばれるのは、クラシック以外では間違いとは言えなくなっています。
つまり、コンサートとリサイタルの違いを気にしなければいけないのは、クラシックのジャンルだけなのですね。
最近では、ポップスやロックなどのジャンルの公演は、ライブと呼ばれることが多くなっていて、コンサートはあまり使われなくなっています。
ライブとは、生の公演や放送のことなので、観客の前で行う演奏会は全てライブに含まれますが、クラシックのジャンルでライブを使うことはまずありません。
生演奏や生歌唱がライブなので、路上でのパフォーマンスなどもライブに含まれます。
路上ライブから人気が集まってメジャーデビューしたミュージシャンも数多くいます。
クラシック音楽以外のジャンルは、公演の名称も時代によって変化していくのでしょうね。
10年後、20年後には違う名称が一般的になっているのかも知れません。
音楽のジャンル分け
コンサートとリサイタルの使い分けでは、音楽のジャンルによる使い分けがポイントだとわかりました。
つまりクラシックとそれ以外という大きな分け方です。
クラシック音楽では、リサイタルとコンサートを演者の人数で使い分けます。
しかしクラシック以外ではルールがないので、あまりこだわらなくても良いわけです。
それにしても、クラシック音楽以外のジャンルとひと言でいっても、数えきれないほどの数です。
たとえばジャズと呼ばれるジャンルも細分化されます。
クール・ジャズ
ジャズ・ファンク
ジャズ・ロック
ファンキー・ジャズ
フリー・ジャズ
モード・ジャズ
モダン・ジャズ次々に新しいジャンルが生まれるからでしょう。
ロックやポップスなど、他のジャンルも次々に新しいものが生まれるので、音楽のジャンル分けは永遠に終わらないのかも知れません。
世界各国の民族音楽から新しい音楽のジャンルが生まれることもあるので、クラシック音楽のように変わらないものを守り続けるジャンル以外は、ルールや定義は必要ないのではないでしょうか。
演奏会を行う会場の違い
コンサートとリサイタルなどを行う会場は、一般的にはコンサートホールと呼ばれます。
ですが、これもまたきっちり分野に分かれているわけじゃないのですよね。
例えばクラシックバレエやオペラなど、音楽だけじゃなく舞踊や芝居を組み合わせる演目は歌劇場、オペラハウスと呼ばれる会場で行うものでした。
演劇やミュージカル・音楽劇などを行う会場は劇場です。
ロックやポップスなどの新しいジャンルの音楽の生演奏を行うのはライブハウスと呼ばれます。
ですが、コンサートホールでもバレエやオペラ、演劇やミュージカルを行うので、会場の呼び方も分けられることはなくなっています。
まとめ
コンサートはジャンルを問わずに使われるのに対して、リサイタルはポップスやロックなどのジャンルには使われません。
もともとクラシックのジャンルから他のジャンルに広まったものなので、使い分けるルールも曖昧になっていったのでしょう。
コンサートとリサイタルを使い分けるルールは、クラシック以外ではとくに気にする必要はないのですね。