「猫をかぶる」という慣用句は、本性を見せない人に対して使います。
今でもよく耳にする言葉なので、若い世代でも知っていると思います。
この「猫をかぶる」という言葉には、人間の身近な動物である猫が使われています。
当然のことながら、猫の習性などがこの慣用句の由来になっているはずですよね。
「猫をかぶる」の語源になった猫の習性とは、いったいどんなことなのでしょうか。
「猫をかぶる」の意味
「猫をかぶる」の意味は、
本性を隠して、おとなしそうに見せかけること。
または知っていながら知らないふりをしてとぼけること。
この2つの意味があります。
ほんとはお転婆なのに、おしとやかに見せるとか、本当はおしゃべりなのに無口に見せることなど、1つ目の意味として使っている人がほとんどではないでしょうか。
もう1つの、知らぬふりをしてとぼける意味として「猫をかぶる」はあまり使われないので、知らない人が多いのも仕方ないと思います。
もともとはどちらの意味が先にできたのか、それがはっきりわかっていないので、どちらの意味でも使える慣用句なのです。
「猫をかぶる」の語源
「猫をかぶる」というくらいなので、猫が語源に関係しているのは誰でもわかることです。
ただ、本性を隠すことと猫を結び付けたのには、何か理由があるはずです。
何の理由もないのに、本性を隠す代名詞のように言われるのは、猫にとっても心外でしょう。
じつは「猫をかぶる」の語源には、2つの説があるのです。
「猫をかぶる」語源①
「猫をかぶる」という慣用句の語源は、猫が由来になったというのは驚くことではないですよね。
猫の習性として、ゴロゴロと喉を鳴らして愛らしく甘えている姿を見せていたのに、急に激しく威嚇したり、引っかいたり噛みついたりするからだと言われています。
ですが、今まで猫と長く暮らしてきて、今も複数の猫と暮らしている立場から言わせてもらえば、ツンデレなところはありますが、理由もなく凶暴になることなんてありません。
警戒心が強い動物なので、知らない人の前では固まってしまうことはあります。
その前に隠れてしまう猫の方が多いですけどね。
知らない人の前では、普段とは違う様子を見せるので、本性を隠すという意味の「猫をかぶる」の語源になったのではないでしょうか。
猫の習性を知らない人に、悪い印象を与えかねないので、猫好きとしては、少し猫寄りの意見になってしまうことをご容赦ください。
「猫をかぶる」語源②
「猫をかぶる」のもう1つの語源は、「ねこ」と呼ばれるむしろです。
ござよりも少し柔らかくて、藁を使って編んだものです。
むしろは敷物にもなりますし、掛物にもなります。
知っているのに知らぬふりをして、ねこをかぶってとぼける様子が由来になったとも言われています。
この様子を「ねこかぶり」と言っていました。
読みの「ねこ」が「猫」に変化して、2つの意味を持つ慣用句になっていたと言われています。
まとめ
「あの子、猫かぶってるわよ」とか「猫かぶってるけど、本性はお見通しだ」など、あまりイイ意味では使われないのですが、誰しも人前では少し控えめになったり、おとなしくなったりするものです。
「猫をかぶる」のは、人として自然なことなのではないかと思います。
みなさんは、どう感じられるでしょうか。