「蟹の横這い」という言葉を知っていますか?
蟹が歩く様子を表しただけで、とくに意味はないと思ってしまいそうですね。
ですが、伝えようとしている意味があるのです。
「蟹の横這い」とはどんな意味なのか、由来や使い方などを解説します。
「蟹の横這い」の意味とは
「蟹の横這い」とは、蟹が横に歩くことから生まれた言葉です。
他人から見ていると、とても不自由そうに見えることでも、当の本人にとってはそれがもっとも楽で、都合のよいこと。
という意味があります。
他人の様子を見ていると、つい口出ししたくなるほどぎこちなく見えることがあります。
もっと楽な方法があるだろう・・と言いたくなることってありますよね。
しかし、他人にはぎこちなく見えても、本人はその方法が楽でやりやすいと思っているのだから、余計な口出しはしなう方が良いという意味なのです。
「蟹の横這い」の由来
「蟹の横這い」という言葉の由来は、人間が見ていると蟹が横に歩く様子がいかにもぎこちなくて、歩きにくそうに見えることからです。
人間は前に進む歩く方をするのが自然です。
蟹のように横歩きすると、前に向かって歩くようなわけにはいきません。
つまり、自分にとって一番楽な方法を基準にしているので、蟹の横歩きがぎこちなく見えるのでしょう。
ですが、蟹にとっては人間が前に進むのと同じく、横歩きが一番楽なのでそうしているはずです。
現に、蟹の関節の構造的に、前に歩くのはとてもぎこちなくなってしまうようです。
横歩きするよりもはるかに遅く、ぎこちないので、自然界では致命的です。
獲物として狙われたら、ひとたまりもありません。
関節の構造的に、蟹は横歩きがもっとも早く歩けるので、そうしているだけなのですね。
ちなみに、蟹の仲間とされている種類の中には、蟹ではなくヤドカリの仲間もいます。
そういうヤドカリの仲間の蟹の中には、横歩きではなく前に歩くのもいます。
「蟹の横這い」は自分基準ではなく、それぞれの個性を認めることが必要だということでしょう。
「蟹の横這い」の使い方
「蟹の横這い」は、どんな時に使えるのか、例文で見てみましょう。
例文①

勉強方法は自分がやりやすい方法が一番だ。

そうね、人ぞれぞれだから。

蟹の横這いみたいに、自分のやり方だけが正しいと思っちゃいけないからな。
例文②

子供たちの練習を見ていると、危なっかしくてつい口出しをしてしまいそうになるよ。

そうね。
でも、それが蟹の横這いなのよ。
子供たちは自分たちで都合の良い方法を探っていくものだから。
まとめ
蟹を使った慣用句と言えば、ぶつぶつとつぶやいている様子を「蟹の念仏」がおなじみですね。
「蟹の横這い」はあまり知られていませんが、蟹の歩く様子を思い浮かべてみると、使える場面は多いのではないでしょうか。