「どんでん返し」という言葉を聞いて、昔ブームになった男女のカップル成立のプロセスを見るバラエティ番組の「大どんでんがえし~」を思い出すのは昭和生まれの人でしょう。
「どんでん返し」の頭にわざわざ「大」をつけていますが、これはもともとの表現ではありません。
ですが、言葉としては定着しているので「どんでん返し」を大げさに表現する時には、当たり前に使われています。
では、「どんでん返し」という言葉が生まれた由来についてはご存知でしょうか。
どんなことがきっかけで「どんでん返し」が世間で使われるようになったのか、調べてみました。
「どんでん返し」の意味
「どんでん返し」といえば、
物事がそれまでとは正反対になること。
という意味です。
勝負事では、それまで優勢だった方が、形勢逆転して劣勢になる時などに使われます。
さっきまでは完全に勝利を確信していたはずだったのに、あっという間に劣勢になることや、予想外の結果になることです。
ビジネスの世界などでも、今まで順調に進んでいた商談が急にキャンセルになったりする時などに使われます。
日常的に使われる言葉なので、意味はほとんどの人が理解しているのではないでしょうか。
「どんでん返し」の語源
「どんでん返し」の語源になったと言われている説は2つあります。
1つは歌舞伎の舞台で場面を転換する時に使う仕掛けです。
舞台が回転するようにつくられていて、後ろに90度回転させるとまったく違うセットが表れます。
その仕掛けを使って場面を転換することを「どんでん返し」と呼ぶことから、事態が急転換することに使われるようになったという説です。
2つ目は大名屋敷や城に作られたからくり扉が語源になったという説です。
敵に攻め込まれた時などに身を隠すために、扉や壁が回転するようなからくりがありました。
忍者屋敷などにあるような仕掛けのことで、それを「どんでん返し」と呼んでいました。
それが語源になったという説があります。
有力なのは歌舞伎の仕掛けの方です。
歌舞伎で使う言葉が語源になっているのは、他にも沢山あります。
庶民の間に広まりやすかったのでしょうね。
「どんでん返し」の由来
「どんでん返し」という言葉にも、その由来になったものがあります。
それが「強盗提灯」と呼ばれるものです。
「ごうとうちょうちん」ではなく「がんどうぢょうちん」と読みます。
強盗提灯とは、メガホンのような形状の筒の中に、銅などの金属で作った釣鐘状のろうそく立てが入っているものです。
筒の中でろうそくの灯りがどんな向きになっても回転するような仕掛けになっています。
しかも、筒状のなっているので、この強盗提灯を持っている人物の顔は照らされません。
暗闇で自分の顔を判別させずに、正面を照らす照明器具だったのです。
自分の顔を見られたくない場合に使うので、忍び提灯とも呼ばれます。
筒の中でクルクルと回転しても火が消えないからくりが、歌舞伎の舞台の仕掛けのヒントになったと言われているのです。
もともと歌舞伎では、「どんでん返し」という前は「強盗返し」と言っていたのです。
舞台を回転させて転換する際に、鳴り物を鳴らしたことから「どんでん返し」と呼ぶようになったのです。
どんでん返しの使い方
「どんでん返し」の使い方を例文で見てみましょう。
驚いたね。
まさかAさんがB先輩と結婚するなんて。
ほんとにビックリした~。
だってAさんはずっとC先輩が狙ってたでしょ。
そうだよ。
しかもAさんもまんざらでもなさそうだったのに。
何があったのかね。
Cさんにとってはショックだね。
こんなどんでん返しになるなんて。
私なら出社できないかも知れない。
Cさんには、いつも通り接してあげようね。
勝負事に限ったことではなく、人間関係やビジネスシーンなどでも使えますね。
まとめ
「どんでん返し」という言葉の語源は歌舞伎の舞台だと言われていましたが、さらに由来になった語源があったのです。
歌舞伎から生まれた言葉が数多くあるので、それらの言葉の由来も他にあるのかも知れません。
言葉は長い年月をかけて変化するものなので、変化の過程を知るのは興味深いですね。