もしもあなたが「奇特な人ですよね」と言われたとしたら、どのような気持ちになるでしょう。
「失礼な」と気分を悪くしてしまう人もいるかも知れませんね。
人を褒める言葉としては認識されていないと思うので、面と向かって「奇特な人」と言うことはあまりないでしょう。
「奇特」という言葉の意味を知らずに、間違った意味のまま聞けば気分を害してしまうのも仕方ないことです。
「奇特」の正しい意味や使い方を解説します。
「奇特」とは
「奇特」とは、
志が深く、普通の人が進んで行わないようなことを進んで行うこと。
一般人にはできないことをする優れていて珍しい人。
このような意味です。
「奇特な人」と言われて気分を悪くしてしまうのは、どうやら間違った意味として理解しているからなのですね。
間違えやすい「奇特」の意味
「奇特な人」と言われて腹を立ててしまう人が少なからずいるのは、言葉の意味を間違っているからです。
奇特の「奇」というのは「奇人」とか「奇怪」など、常識から大きく外れている人や出来事などを示す言葉に使われます。
とくに「奇人」と言えば「変人」をイメージするように、普通とは違う人という意味です。
「奇特な人」と言われれば、まるで奇人の中でもさらに飛びぬけて変わった人と言われていると勘違いしてしまうのでしょう。
「奇特」とは、たしかに珍しい人という意味もありますが、それは良い意味の珍しさです。
普通の人がしないようなことをするので、変わった人と思われる可能性もありますが、悪い意味ではありません。
「奇特な人ですね」と言われたら、喜ぶべきでしょう。
「奇特」の使い方
「奇特」の使い方を例文で見てみましょう。
ボランティアってしたことある?
してみたいと思ったことはあるんだけど、ないの。
したことあるの?
知り合いがこども食堂を始めたから、そこの手伝いボランティアに行ってみたの。
こども食堂って、最近よく聞くけど。
ひとり親世帯の子とか、共働きで1人でご飯を食べている子に温かい食事を提供する活動なんだよ。
いいね、それは素敵な活動だわ。
私自身も母子家庭育ちで、母親が仕事でいつも遅かったから夕飯は寂しく1人ぼっちで食べてたの。
その時のことを思い出してお手伝いしてみたくなったんだ。
いいことだね。
それにしても、こども食堂を始めたお知り合いって奇特な人だよね。
うん。
その人は教員免許も持っているから、食事だけじゃなくて勉強も教えてあげたりしてるの。
私と同じようにひとり親家庭で育ったから、子供に対する思い入れが深いんだよね。
このような使い方をします。
「奇特」を他の言葉にすると
「奇特な人ですね」というと、「変な人」のように思われたと勘違いされてしまう恐れもあるので、あまり親しくない人に使うのはかなりリスクがあります。
「奇特の意味はですね・・・」とわざわざ前置きをしてから使うわけにもいきません。
誤解されないように他の言葉で「特別に優れている人」という気持ちを伝えるのには、リスクなく安心して使える言葉を選びたくなります。
たとえば「殊勝」です。
「殊勝」は、とても心がけの良い人や、すぐれた行いをする人のことを表します。
「○○さんのような殊勝な心を持っていれば、必ず報われます」
「奇特」よりも誤解を受けずに使えるのではないでしょうか。
まとめ
「奇特」という言葉の意味を間違えている人は意外と多いので、誤解されたら困りますね。
しかし、間違った意味として広まってしまうと、本来の意味を知っている人も使えなくなってしまいます。
正しい意味がきちんと定着してくれなければ、どんどん使い難くなるので、正しく使って広めていきましょう。