藪医者(やぶいしゃ)とは、腕のない医師、能力のない医者という意味です。
医者なのに、適切な治療もできないし、正しい診断もできない人を見下して、蔑視する時に使われるのが藪医者です。
ですが、なぜ藪医者と呼ばれるようになったのか、語源や意味を知らないまま使っている人も多いでしょう。
なぜ腕の悪い医者のことを藪医者と呼ぶようになったのか、由来や語源を解説します。
「藪」とは
【藪】は「藪から棒」や「藪ヘビ」など、慣用句やことわざによく使われます。
もともと藪とは「野暮」と同じ意味として使われてきました。
「野暮」は遊郭など遊興の場で、その場のしきたりや粋な風習を知らず、事情に通じていない人に対して使う言葉です。
「藪」も同じように、その場所や状態に対して適切な対処や処置ができないことを示す言葉として使われています。
藪医者の語源の有力説
藪医者の語源としては、2つの説が有力だと伝わっています。
藪ヘビから生まれた藪医者
「藪ヘビ」というのは、用もないのに藪をつついてヘビを出してしまうという意味です。
余計なことをして、悪い状態にしてしまうことを藪ヘビと言います。
そこから、正しい処置もできない腕の悪い医者が手当したことで、病気やケガを余計に悪化させてしまうということから、「藪ヘビ」→「藪医者」になったという説があります。
風で動く藪
藪医者の由来として、藪ヘビの他にもう1つ言われているのが、風で揺れる(動く)藪が由来になったという説です。
昔は医者の数も少なかったし、今のように予防接種もありませんから、悪い風邪が流行すると、腕の悪かろうが、評判が悪かろうが、医者は忙しくなります。
そこから、風邪(風)で動く医者という意味で、腕の悪い医者のことを藪医者と呼ぶようになった説があります。
養父という地名が語源という説
藪医者の語源として、あまり有力ではないのですがもう1つ伝わっている説があります。
それは今の兵庫県養父市に非常に腕の良い名医がいて、その名医の評判が広まり、その名医の名前を語ったニセモノなどがいたことから「養父医者」→「藪医者」になったという説です。
ですが、藪医者の方がその名医の評判が広まる前から使われていたので、この説は有力視されていません。
まとめ
藪医者とは、今でも悪い評判が立つ病院に対してよく使いますね。
語源として有力な2つの説のどちらが正しいのかわかりませんが、藪医者が今でも山ほどいると思って、良い医師に巡り会いたいと心から願います。