「敬遠する」と言えば、真っ先に野球の敬遠を連想する人もいるかも知れませんね。
野球の敬遠は、もともと使われていた「敬遠する」という言葉が使われたもので、正式なルールでは「敬遠」とは言わないそうですね。
しかし一般的には敬遠で通ってしまうほど、野球にも浸透しているこの言葉。
日常会話でも使うことがありますが、じつは意味があまりよく理解されていないのでは?という疑問を持ちましたので調べてみようと思います。
なぜ野球でも敬遠という言葉が使われるようになったのかも含めて、チェックしてみましょう。
敬遠とは
敬遠とはどんな意味なのか、まずは調べてみましょう。
こう書かれていました。
①いかにもその人を敬って距離を置くようなふりをして、なるべく近づかないようにすること。
②不快(めんどう)な事態になるのをいやがって、初めからその物事に直面するのを避けること。
新明解国語辞典
これから考えると、野球の敬遠は②のことですよね。
ここで打たれたらマズい!という相手を歩かせて、次のバッターで勝負するというのが野球の敬遠という作戦です。
敬遠の由来
敬遠の由来は、中国の論語からだと言われています。
鬼神を敬してこれを遠ざく
つまり祖先の神々には、敬意を表しつつもあまり深入りしてはいけないという教えなのです。
敬って近づかないことが敬遠のそもそもの意味なのですね。
読んで字のごとくとはまさにこのことですね。
野球の敬遠はなぜ
野球の試合で使われる敬遠は、強打者との勝負を避けて、故意にフォアボール(四球)にして打者を塁に進めることです。
これは、強打者の実力を敬っているともいえるので、敬遠という表現がズレているわけではないと思います。
誰が最初に敬遠と言い出したのかはわかりませんが、正式には故意四球というのです。
敬遠された打者は、自分の実力を恐れられたわけですから悔しい反面、悪い気がしないかもしれません。
しかし次の打者としては屈辱的です。
前の打者との勝負を避けて敬遠したということは、次の打者なら勝負しても負ける気がしないということだからです。
敬われる打者と比べられる気持ちは、切ないものですね。
故意四球が正式なのですが、今ではすっかり敬遠のほうがおなじみです。
この頃では、敬遠するときに審判に申告すれば、わざわざ故意にストライクゾーンから大きく外して投げて四球にすることなく打者を進ませるルールができました。
申告敬遠が高校野球などでルール化されたことで、もうすでに故意四球=敬遠でよいわけです。
敬遠の誤用
敬遠の本来の意味を知ると、世間で使われるのは「嫌って遠ざける」とか「嫌がる」という意味で使われることが多いような気がします。
これは「敬遠」を「犬猿」と勘違いしている方が多いのではないでしょうか。
「犬猿」は、犬と猿は相性が悪くてお互いにいがみ合うので、そういう仲の悪い関係のことを「犬猿の仲」というのです。
似ているので「敬遠」と勘違いして誤用している人も少なからずいるのだと思います。
まとめ
敬遠とは、もともとの意味について考えてみると敬って深入りしないで距離を置くようなときに使う言葉なんだと再確認しました。
いつのまにか、ただ遠ざけたい人に対して使っていたような・・。
気を付けなくてはいけませんね。