うちわは、暑い時期に活躍するアイテムです。
火の勢いを増すために風を起こす道具として使われることもありますね。
電力も必要ないし、エコで便利な涼風アイテムとして昔から重宝されています。
カタチは違っても、世界中にうちわのようなものはありますから、原始的ですがなくなることはないと思います。
さて、そのうちわを使った「左うちわで暮らす」ということわざがあります。
左うちわで暮らすとは、どんな意味なのでしょうか。
左うちわで暮らすとは?
左うちわで暮らすとは、何も苦労せずに、のんびりと暮らすという意味です。
仕事をしなくても、何らかの収入があって悠々自適に暮らせる人とか、誰かの稼ぎで養ってもらって生活できるような人に対して使います。
落語の世界では、髪結いの亭主とか、大きな商家のドラ息子なんかに「誰のおかげで左うちわで暮らせると思ってんだい!」なんて言ったりします。
なぜ左うちわ?
左うちわで暮らすこと、それがなぜ何の苦労もない様子を伝えているのか、その理由には利き手が関係しているようです。
日本では、昔から利き手は右手じゃないダメだと言い伝えられてきました。
割合として、生まれつき右利きが90%、左利きは10%程度と言われています。
日本に限ったことじゃなく、世界的に見ても右利きの割合が圧倒的に多いのは確かです。
その理由はハッキリ解明されていませんが、日本では珍しい左利きに対して縁起が悪いと言われることがありました。
マジョリティーがマイノリティーを押さえつける風習は、今よりもずっと強かったのです。
話が逸れましたが、要するに左手を利き手とする人は少ないので、右利きが一般的でした。
左うちわで暮らすとは、利き手じゃない左手にうちわを持って悠々とあおぐ様子が、とても優雅で余裕のあるように見えることから、何の苦労もなく、のんびりと生活できることを左うちわで暮らすと言うのです。
右手が利き手の人が左手にうちわを持つのは、バタバタと勢い良く扇ぐ感じですが、利き手じゃない左手にうちわを持つと、扇ぎ方がぎこちなくなります。
バタバタ扇がない様子は、ぎこちなくても悠々と見えるのでしょう。
それが左うちわで暮らすという表現の由来になっているようです。
まとめ
私が子供の頃に住んでいた実家の周りは、なぜか古くからの名家が多く、マンションやアパートを経営する大家さんなどが多かったような記憶があります。
普通のサラリーマン世帯だった我が家では、祖父母や両親が「あそこは左うちわだから」なんて皮肉めいた言い方で会話していたことを思い出します。
いつか左うちわで暮らしてみたいものですが・・無理でしょうね(^-^;