正しい敬語を使える日本人は、どんどん減少していると言われています。
敬語は難しいですから、よほど勉強していなければ間違いかどうか知らずに使っている方が多いのではないでしょうか。
たとえば、この「使っている方」です。
「使っている人」でもいいのに、何となく「使っている方」の方が丁寧な表現のように感じますよね。
「○○な方」というのは、丁寧な言葉なのか、それも疑問です。
巷でも「○○な方」として、人を指す敬語として使っている人をよく見ます。
正解が見つかるのかどうかわかりませんが、「○○な方」について調べてみることにしました。
疑問に思ったことがあるのなら、一緒に考えてみましょう。
身内に対する「○○な方」
身内には、敬称をつけませんよね。
たとえば
私のお母さまはとても料理が上手なの
母親のことを「お母さま」と呼んでいるとしても、家族以外には「私の母は」と言いますよね。
でもまあ、このくらいはまだ許される範囲なのかも知れません。
問題は、身内にも「○○な方」と尊敬語を使ってしまうことです。
ぼくの母はとてもやさしい方なんです
このように、自分の身内に対して尊敬語を使う人が増えています。
どんなに尊敬していたとしても、身内に対して「○○な方」というのはオカシナ表現なのです。
他にもあります。
大学まで出させていただいて、両親には感謝しています。
これも変な感じですよね。
「~させていただく」とは、謙譲語なので身内には使わないのです。
「大学まで行かせてくれた」と言えばいいのに、丁寧な言葉を使おうと意識し過ぎてしまうと、オカシナ感じになってしまうのですよね。
前後とバランスが悪い「○○な方」
身内以外でも「○○な方」の使い方には気を付けないといけないようです。
前後のバランスを考えないと尊敬語だけが浮いてしまいます。
たとえば
あそこにいる方が○○さんです
このように、尊敬語を使っているのにバランスがとれていません。
正しくは「あちらにおいでになる方が○○さんでいらっしゃいます」なのです。
日常的な会話では、めったに使わないような丁寧な言葉ですよね。
ですが、「○○な方」と尊敬語を使うからには、前後も合わせないとアンバランスな言葉になってしまうわけです。
この場合は「あそこにいる人が○○さんです」が正しいのでしょう。
違和感しかない「○○な方」
身内に対して「○○な方」というのはオカシイとか、「○○な人」の代わりに使うのはオカシイとわからないまま使う人が増えているのを実感することがあります。
それは、テレビでニュース番組を見ている時です。
事件の取材で目撃者のインタビューが流れると、犯人の特徴や様子を
「慌てた様子で走っていくのを見ました。30代くらいの男性の方でした」
テレビの取材を受けるので、丁寧に話さなければいけないという過剰な意識から思わず使ってしまうのでしょう。
視聴者としては驚きますが、実際にこのような使い方をしているケースを見たのは一度や二度ではないので、「○○な方」は「○○な人」とほぼ同等に使われる時代になったのかも知れません。
まとめ
丁寧な言葉使いは、尊敬語や謙譲語を使えば良いというものではありません。
使い慣れていない言葉を無理して使うと、恥をかく可能性が高いのです。
無理をせずに、略語や流行言葉は控えてハッキリと話せば問題ないのでしょうね。
無理は禁物ということです。