「肝に銘じる」と「肝に命じる」は、どちらも同じ意味として使われています。
なぜ「銘じる」と「命じる」の2通りがあるのでしょう。
そもそもどちらが正しいのか、それとも同じ意味ではなかったのでしょうか。
今回は「肝に命じる」と「肝に命じる」のどちらが正しいのか解説します。
「肝に銘じる」と「肝に命じる」正しいのは
「肝に銘じる」と「肝に命じる」とでは、正しいのは「肝に銘じる」です。
そもそも「肝に銘じる」とは、心に深く刻み込むという意味の慣用句です。
肝というのは、肝臓のことではなく心のことです。
昔は「肝を冷やす」とか「肝がすわっている」など、心や気持ちのことを「肝」と表していました。
「銘じる」というのは、刻む、記憶するという意味があるので、「肝に銘じる」が正しいのです。
「肝に命じる」は間違い
「肝に銘じる」が正しいのに、「肝に命じる」という使い方をしている人が増えています。
もちろん、正しく「銘じる」を使っている人の方が圧倒的に多いのですが、「命じる」を使う人もジワジワと増えているのです。
「命じる」となると、目上の人から命令されたことを心に刻むという意味になるので、それはそれで意味として通じてしまうかも知れません。
例えば、上司から注意されたことに対して「ご指摘されたことを肝に命じます」と言えば、その場では通用してしまうのでしょう。
ですが、それでは「命令されたから気をつけよう」という意味になってしまいます。
指摘やアドバイスに対して、「命令された」という受け止め方になってしまいます。
「肝に銘じる」とは、指摘されたことを理解して、今後のために決して忘れないようにするために心に刻むことなので、「肝の命じる」とでは受け止め方に大きな違いがあるわけです。
「肝に銘じる」の使い方
「肝に銘じる」の使い方を例文で見てみましょう。
先週、○○商社のAさんと会えたんでしょ?
はい、やっとアポ取れて。
新しい企画の話を聞いてもらえました。
それでその後は?
先方から連絡がないので何も・・・
忙しいAさんが時間を割いてくれたんだから、お礼の気持ちは伝えた方が良いよ。
それが、なかなか電話が通じなくて。
そういう時はメールでもいいし、留守電でもいいし、お礼状でもいいから。
時間が経ち過ぎると意味がないからね。
わかりました。
すぐにお礼を伝えます。
話した印象が薄れる前にお礼を伝えるようにしようね。
ありがとうございます。
勉強になります。
先輩のアドバイスを肝に銘じて頑張ります。
このような場面で使えます。
まとめ
「肝に銘じる」を「肝の命じる」と間違って書いてしまうと間違いなので気をつけないといけませんね。
言葉で発するだけではわからないですが、文字にする場合は注意しましょう。