「翠は羽を以て自らをそこなう」という言葉を知っているでしょうか。
翠というのは、ある鳥のことを指しています。
翠という鳥は、カワセミと呼ばれている鳥のことなんです。
「翠は羽を以て自らをそこなう」とは、カワセミの美しい羽に理由があるようです。
詳しい意味や使い方、また類語についても見ていきましょう。
「翠は羽を以て自らをそこなう」の意味
「翠は羽を以て自らをそこなう」の意味は
長所や秀でた才能が、かえって災いを招くもとにもなる。
というものの例えです。
翠、つまりカワセミの姿を想像するとよくわかると思います。
青緑の美しいい色の羽を持っています。
このような鮮やかな羽の色を持っているカワセミは、水辺で非常に目立ちます。
その美しさゆえに、カワセミは捕まえられやすいのです。
目立つ色の羽を持つ鳥は他にもいますが、動物の視力は色彩の識別が苦手な種も多いです。
素早く飛び立てる鳥は、擬態して身を隠さずともあまり危険がないのではないでしょうか。
しかし人間には見つかりやすいですよね。
美しい羽の色に目を引かれて、カワセミは人に捕らえられやすいことから、「翠は羽を以て自らをそこなう」という言葉が生まれたのです。
「翠は羽を以て自らをそこなう」の使い方
「翠は羽を以て自らをそこなう」の使い方を見てみましょう。
例文①
転勤してきた○○さん、どんな人?
スカウトされてうちの社に入ったみたいだから、すごく仕事ができるよ
そうなんだ
だからね、周囲がピリピリしてる
妬みか
翠は羽を以て自らそこなうような結果にならないといいけど
目立ち過ぎず、上手く立ち回れるかどうかがカギね
例文②
お隣の買い替えたばかりの新車が傷つけられたんですって
それは災難だな
買って一か月も経ってないのに
高級車だから駐車場でも目立ってたしな
翠は羽を以て自らそこなうってこのことね
高級車はシャッター付きのガレージに停めないと危ないってことさ
「翠は羽を以て自らそこなう」の解釈
日本人は、周りの人たちに合わせて、目立たずにいるのが得意です。
出る杭は打たれるというのも、目立つことの弊害を伝えています。
そういう価値観をすり込まれているので、目立つと「変な人」というような陰口を言われることもあります。
しかし「翠は羽を以て自らそこなう」とは、そうならないために、人より秀でた才能は隠すことも大切だと伝えているのではないでしょうか。
能ある鷹は爪を隠すとも言いますからね。
「翠は羽を以て自らをそこなう」の類語
周りの人よりも目立つような才能を持っている。
または、優れた長所がある。
それゆえに災難にあったり、するという意味の言葉は他にもあります。
孔雀は羽ゆえに人に捕らる。
孔雀の美しい羽は、装飾品に使われていました。
美しい羽を目的に、人間に捕まえられていたからです。
麝香(じゃこう)は臍(へそ)ゆえに命をとらるる。
麝香猫や麝香鹿は、特有の香りを発する分泌物があります。
臍とは、麝香を分泌する部位のことです。
その香りを求めて、人間に捕まえられたのです。
まとめ
「翠は羽を以て自らそこなう」とは、長所や才能が災いの原因になるという意味の言葉でした。
しかし、生まれ持った才能や長所は、隠そうとしても隠しきれるものではないでしょう。
そういう人は、災いを引き寄せないように十分注意しなければいけないので、大変ですね。