「とおりいっぺん」とはちょっと古い言い回しではありますが、現在も使います。
どんな意味なのか、あまりよくわかっていないまま聞き流している人もいるのではないでしょうか。
適当に聞き流していても問題なければいいですが、知らないままでは困ることもあるかも知れません。
「とおりいっぺん」の意味や使い方について、見ていきましょう。
「とおりいっぺん」の意味
「とおりいっぺん」の意味を調べてみると、このようなことが書かれていました。
形式的に行うだけで、誠意のない様子
相手の心に触れあうことがない行い
形式は整っているが、心のこもっていない様子
つまり、心のこもっていない態度のことを表しているのです。
ときどき、間違った使い方をする人もいます。
たとえば、

とりあえず本番を想定してとおりいっぺんやってみようか

君の方法をとおりいっぺん真似してみるよ
というような使い方です。
このような誤用は、「ひととおり」と「とおりいっぺん」を間違えているのでしょう。
「とおりいっぺん」の語源
「とおりいっぺん」は漢字では「通り一遍」です。
通りがかりに一遍(一度)だけ立ち寄り、挨拶を交わしただけでは、心のこもった礼を尽くしたとは言えないということから「通り一遍」という言葉になったのです。
通りがかりというのは、わざわざそこに立ち寄る目的ではなく、他の目的の場所へ向かうついでのことです。
形式的には、挨拶に来たように見せたとしても、通りがかりに一度だけ挨拶しただけでは、誠意のない表面的な行動と思われても仕方ないということなのでしょう。
「とおりおっぺん」の使い方
「とおりいっぺん」の使い方を例文で見てみましょう。
例文①

誰かお客さんだったの?
声がしてたけど

職場の後輩よ

わざわざ休日に挨拶に来るなんて律儀な人だね

いや、今度の異動のことが気になってるんだろよ
それに実家が近いからわざわざとは思えないな

まあ、とおりいっぺんの挨拶でも、無いよりマシでしょ
例文②

先輩はほんとにキレイで頭が良くて、尊敬してます

そんなとおりいっぺんの褒め言葉ではごまかされないよ

ほんとですって

はいはい、ありがとう
「とおりいっぺん」の類語
「とおりいっぺん」のように、心がこもっていない様子を表す言葉を探してみました。
おざなり
「おざなり」は、その場限りの間に合わせで済ませようとすることです。
心のこもっていない様子に通じるところがありますね。
上面(うわつら)
「上面」は、物事の表面だけという意味ですが、表面だけで心のこもらない態度のことにも使います。
上面と同じように「上辺」もよく使う表現です。
皮相(ひそう)
「皮相」は「上面」と同じ意味ですが、あまり使われる言葉ではありません。
まとめ
「とおりいっぺん」という言葉は、少し勘違いして使っている人もいます。
正しい使い方ができているかどうか、チェックしてみる機会になれば幸いです。
間違って使っている人も少なくないので、惑わされないように気を付けましょう。