「本音と建前」を上手く使い分けることが、人間関係を円滑にさせるための必要な術だと思っている人が多いですよね。
本音をそのまま出してしまうと、人を傷つけたり誤解されたりするから、人前では建前を上手く使わないといけないよ
という感じでしょうか。
ただ、本音はわかるのですが、なぜ建前と言うのでしょう。
建前というのは、建築業界で使う言葉です。
なぜ本音を隠すことを建前という建築用語を使うようになったのか、その疑問について調べてみました。
本音と建前の意味
本音とは、心の中にある本当の気持ちから出る言葉のことです。
本音はもともと本来の音色とか、そもそもの音という意味でした。
それが本当の心の声として言葉に出すことを、本音というようになったのです。
建前とは、表向きの考えという意味です。
本音と建前をセットにして使うことで、本心は口にせずに表向きな考えを伝えるという意味になるわけです。
建前の語源とは
本音と建前はセットにして使われることが多いのですが、本来の音色という意味の本音に対して、建築用語の建前を合わせるのはなぜなのでしょう。
その疑問をひも解くために、建前について詳しく解説します。
家屋を建てる時には、まず基礎工事をします。
それから柱、梁、棟の骨組みを作ります。
骨組みの段階まで進むと、建前をお祝いしたのです。
地域によって建前のお祝い方法は違いますが、近所の人を招いてお餅やお菓子を振舞うことが多かったのです。
建前に招かれた近所の人たちは、柱や梁などの骨組みを見て、どのような家が建つのか想像します。
しかし、骨組みだけでは間取りなど詳しいことがわかるわけありません。
外観をイメージするくらいしかできません。
つまり、建前は建物の表向きのことという建築用語だったことから、本心ではなく表向きの意見や考えという意味で使われるようになったのです。
建前と嘘の違い
本音と建前とセットで使われることから、本心ではない建前は「嘘」だと勘違いされることがあります。
しかし建前と嘘とでははっきりとした違いがあります。
建前とは、内側が見えないことから表向きの考え方を意味します。
一方の嘘は事実ではないこと言葉で、人を欺くことです。
本心を隠して、表向きの言葉を言うのは、人を傷つけたり敵を作らないための世渡り術です。
誰も彼もが本心をさらけ出して生きていたら、この世の中は収拾がつかないでしょう。
しかし嘘はそうではありませんよね。
自分が得するために人をだましたり、自分の悪事を隠すために事実ではないことを言うのが嘘です。
本心を見せないことと、人を欺く嘘はまったく違うので勘違いしないようにしたいですね。
まとめ
建前は建築用語が語源ですが、じつは建築業界の言葉がもとになっている言葉は他にも数多くあります。
建築用語が語源になっている言葉を集めてみるのも、面白いのではないでしょうか。