お腹を切って赤ちゃんを産むことを【帝王切開】というのはなぜ?

ことばの雑学

赤ちゃんの出産方法には、お腹を切る帝王切開がありますよね。

お腹の中の赤ちゃんが逆子になったり、普通分娩できない問題があった場合などに帝王切開します。

日本でも相当昔から行われていたと聞いて驚きました。

麻酔のない時代にすでに行われていたという記録があるそうです。

想像するだけで気絶しそうですが・・。

さて、この帝王切開ですが、なぜ帝王という言葉が使われるのでしょう。

帝王が生まれる時の儀式などに関係があるのか、それとも帝王はお腹を切って生まれてくるのかなど、納得できそうな理由はわかりません。

出産するのは女性ですし、赤ちゃんの性別だって男女どちらかなのかわかりません。

それなのに、なぜ帝王切開と言うようになったのか、調べてみました。

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帝王切開の語源

なぜお腹を切って子供を生むことを帝王切開というのか、その語源を探してみました。

様々な説があるようですが、どうやら帝王とは無関係のようです。

日本の西洋医学は、ドイツをお手本としていました。

昭和の中頃までは、ドイツ語でカルテを書いていた医師も多かったそうです。

ドイツ語で帝王切開のことはKaiserschnittと言うそうですが、Kaiser(カイザー)は帝王でschnittは切るという意味があるのです。

しかし、なぜカイザーという言葉になったのか、そこが謎です。

さらに調べてみると、どうやらもともとラテン語のsectio caesareaをドイツ語に訳した時に誤訳してしまったのが原因のようなのです。

ラテン語の「sectio」も「caesarea」も、どちらも「切る」という意味があります。

お腹を切って出産する方法のラテン語sectio caesareaの「caesarea」の部分を有名なローマ帝国のユリウス・カサエル(ジュリアス・シーザー)の「caesar」に間違えて訳してしまったことから、Kaiserschnittとなり、ドイツ語を日本語に訳した時に帝王切開になったと言われているのです。

つまり、どうも変だな・・と思うのも当然です。

誤訳が語源だったのですからね。

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帝王切開の日本の歴史

帝王切開のルーツは相当古くて、紀元前三世紀のエジプトで行われていたという記録があるそうです。

ただ、現在のような方法ではなく、出産間際や出産時に母親が亡くなってしまった場合に、お腹の赤ちゃんだけでも救う方法として行われていたようです。

日本で最初の帝王切開が記録として残っているのは、江戸時代の後期です。

1852年、黒船来航の前年のことです。

ある女性が3日にも及ぶ難産の末、お腹の中で赤ちゃんが死んでしまいます。

母体の命も危うくなり、命を救うために切開したのです。

オランダの医学書を参考にしながら、麻酔もない状態ですから、あまりに壮絶ですね。

まとめ

帝王切開の語源には、ジュリアス・シーザーが母親のお腹を切開して生まれたことが由来という説もありました。

ですがそのような記録も残っていないようなので、想像から生まれた俗説と考えるのが妥当でしょう。

ラテン語からドイツ語への誤訳が語源だったとは意外でしたが、日本語に訳す時に誰も疑問に思わなかったのでしょうか。

忠実に訳すところが、日本人の真面目さなのかも知れませんね。