「ひとりぼっち」といえば、一人で寂しそうにしている様子が伝わります。
「ずっとひとりで待っていたの?」よりも「ずっとひとりぼっちで待っていたの?」の方が、より寂し気な様子が強調されます。
また、最近はひとりぼっちのことを「ぼっち」と言ったりしますよね。
一人で食事することを、「ぼっちメシ」なんて言うようになっています。
「ひとり」がなくても「ぼっち」だけで意味が通じるようになってきたのです。
こうなってくると、「ぼっち」だけがひとり歩きを始めた感じになります。
ですが、そもそも「ひとりぼっち」の「ぼっち」って何なのでしょう。
たった一人でいる様子を表すのに「ひとりぼっち」というようになったのはなぜなのか、語源を探ってみました。
「ぼっち」の意味とは
「ひとりぼっち」の「ぼっち」だけを切り離してしまうと、言葉の意味としては通じないはずです。
ですが、「ぼっち」には小さな点や突起物を表す意味があります。
小さな点や突起物のことは「ぼっち」または「ぽっち」と呼ぶことがあります。
小さな点のことを「ぼっち」や「ぽっち」と表現したのが、「ひとりぼっち」の語源ではないかという説もあります。
1つだけの小さな点と、1人だけで孤独にいる様子を重ねたということなのでしょうか。
ですが、「ひとりぼっち」の「ぼっち」には別の語源の説もあります。
どちらかと言えば、もう1つの語源の方が有力だと言われているので、小さな点の「ぼっち」の方が後付けだった可能性があります。
「ぼっち」の語源
「ひとりぼっち」の「ぼっち」の語源は、僧侶の敬称である法師が訛ったのだと言われています。
法師と呼ばれる僧侶は、尊敬される存在だったのですが、僧兵と呼ばれるような僧侶が増えてしまった時代になると法師は敬称ではなくなってしまったのです。
そこで僧侶の別の呼び方として、坊主が広まっていきます。
「ひとりぼっち」とは「一人坊主」が変化したのだと言われているのです。
「一人坊主」とは、幼い頃から親元を離れてお寺で修行する幼い子が、寂しそうにたたずんでいる様子です。
親元を離れているだけでも寂しそうですが、修行の身なので余計に寂しさが増すように見えたのではないでしょうか。
そこから「一人坊主」が「ひとりぼっち」になっていったのではないかと言われているのです。
「ぽっち」との違い
「ぼっち」とよく似た「ぽっち」は、「たったこれだけ」という意味で「たったこれっぽっち」という使い方をします。
「ぼっち」や「ぽっち」が小さな点や突起物を表す意味もあるので、「ほんの少し」とか「とてもわずかな」という意味で「ぽっち」が使われるようになったと考えられます。
まとめ
「ひとりぼっち」ではなく「ひとりぽっち」という人もいますから、「ぼっち」も「ぽっち」も伝える意味としては、違いはないのかも知れませんね。
しかし、まさか「ぼっち」の語源が法師から坊主に変わった時代の僧侶からだったとは思はなかったので、言葉のルーツは意外なところにあると思うと、語源を探る楽しさが増すのではないでしょうか。