判子を押す【押印】と【捺印】の違いとは?正しい使い分けのポイント

ことばの意味

日本は欧米諸国とは違い、サインではなく判子文化です。

今でも契約には判子を押すことが多いですよね。

コロナ禍で在宅勤務の妨げになったのが判子文化だとも言われました。

高額な買い物をする時には、印鑑登録した実印がないと売買契約が成立しないこともありますよ。

銀行で新たに口座を作るのにも、領収書などを発行する時にも判子を押します。

しかし、こんなに当たり前に判子を押す文化が広く根付いているのに、「押印」と「捺印」の違いを明確に答えられる人はどのくらいいるでしょう。

今回は判子を押す時の「押印」と「捺印」の違いた使い分け方を解説します。

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「押印」と「捺印」の違い

「押印」と「捺印」の意味は、どちらも同じです。

国語辞典で調べてみても、「押印」も「捺印」も「判子を押すこと」と書かれています。

つまり、「押印」と「捺印」には意味としての違いはないのです。

ただ、意味は同じでも使い分けるために2つの言葉があります。

「押印」と「捺印」の使い分け方

判子を押すという同じ意味の「押印」と「捺印」は、使い分けるポイントがあります。

それは、自分で書いた署名(自筆)に押すのか、自筆ではない記名に押すのか。

そこが使い分けるポイントです。

自分自身で書いた自筆には「捺印する」
自筆ではない記名には「押印する」

自筆=捺印 自筆以外=押印とセットでおぼえると使い分ける時に迷わなくなると思います。

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「署名」と「記名」の違い

「署名」は自分が手書きで書いくことです。

たとえば、お店でショッピングした時にクレジットカードで払った時などにサインを求められます。

この時は自分の手で書きますから「署名」です。

では「記名」とは?という疑問が湧いてきます。

記名というのは、自筆で書く以外の方法なので、パソコンやワープロなどを使ったものや、ゴム印、スタンプなどのことです。

ただ例外として、自分自身でパソコンやワープロを使って作成した文書にサインとして氏名を記す場合は、「署名」を使っても間違いではないとされています。

判子は印鑑とは違う?

「押印」と「捺印」はどちらも判子を押すことですが、判子のことを印鑑と呼ぶ人が多いですよね。

宅配便の人が「サインか印鑑お願いします」と言ったりしますし、銀行の窓口などでも「こちらに印鑑お願いします」などと言われることもあります。

判子イコール印鑑として広く認識されつつありますが、正しくは判子と印鑑は違います。

印鑑は判子を押して残った文字や形、記号などのことです。

判子のことを印鑑と呼ぶのは間違いなので、気を付けましょう。

印章というのは、判子の正式な名称なので、印章であれば判子と同じ意味として使っても問題ありませんが、あまり使う人はいないようです。

でも、判子という呼び方が軽く聞こえるので、印鑑と呼んでいる人が増えたのかも知れませんが、判子が正しい呼び方なので堂々と使いたいですね。

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海外ではサインだけで通用する不思議

日本では、不動産や車を買う時などに必要な身分を証明するための印鑑証明ですが、判子を使わない国にはありません。

サインだけで本人という証明になるのは不思議なのですが、判子は大量生産もできるので、じつはサインの方が筆跡鑑定などで個人を特定できるようですね。

どんなに真似をしても、細かいところに筆跡のクセが出るので判子に比べても劣らないのだそうです。

世界に一つしかないオリジナルの判子を作らない限りは、サインと比べて安全とは言えないのかも知れません。

日本に住んでいる外国人が車や不動産を買う時にはどうしているのか・・とちょっと疑問に思ったので調べてみると、サイン証明というのがあるそうです。

印鑑証明の代わりになるものがあるのですね。

証明に使える判子のルール

判子を作るときには、名字で作ることが多いと思います。

しかし、結婚して姓が変わってしまうと、せっかく作った判子が使えなくなってしまうのは勿体ないですよね。

高価な判子を作ったのに、姓が変わるからまた削って作り直すとさらに費用がかかります。

印鑑証明のために登録する判子ルールについて調べてみると、やはり氏名以外の文字や記号が入っているものでは登録できない規定がありました。

もしも結婚前に印鑑登録用の実印を作るのなら、姓を入れずに名前だけで作ると無駄な出費をしなくても済みます。

男性も婿養子に入れば姓が変わります。

結婚、離婚によって姓が変わるたびに実印の判子を作り直すのはとてももったいないので、名前だけで作るのもいいと思います。

ちなみに、実印用の判子の規定は各市町村によって多少の違いがあります。

大きさや形などの規定が定められている自治体もあるので、大きすぎたり、変わった形は避けたほうが良いでしょう。

まとめ

知っているようで知らないことって意外と沢山あるものです。

「押印」と「捺印」は意味は同じでも、使い分けるルールがあるなんて、知らない人も多いのではないでしょうか。

「署名」や「記名」の違いとセットでおぼえておけば、間違いないですね。