左遷というのに右遷とはいわないのはなぜだろう?

ことばの雑学

仕事上で失敗したり、派閥争いで負けたりして、エリートコースから外れた人が地方に飛ばされたりすることを「左遷」といいますよね。

では、逆に昇進したり、地方から本社に移動になったりして、立場が上になることはなぜ右遷とはいわないのでしょう。

左遷とはどんな意味なのか調べてみることにしました。

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左遷とは

左遷とは、

現在よりも低い地位にうつすこと。
または、中央から地方へ転任させること。

という意味です。

意味としては、一般的に理解されている通りです。

では、なぜ左遷と言うのでしょうか。

左遷の起源は中国から

そもそも左遷とは、中国で使われていた言葉です。

中国の歴史は古く、その長い歴史の間に、右の方が位が上で、左の方が位が下と定めたことがありました。

そこから、地位の低い立場に移すことを左遷というようになったわけです。

遷というのは、移すという意味があるため、立場を上げることを右遷とは言わないのです。

左遷と同じ意味として、左降という言葉もあったそうです。

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左遷の反対の意味の言葉は?

左遷の反対に、地位を上げるために役職や職場を変わることは「栄転」と言います。

いかにも出世します!という感じですよね。

日本でも左遷が使われるけれど・・

もともと中国で生まれた言葉が今の日本語には溢れているので、左遷も普通に定着していますよね。

左遷が降格という意味で使われるのが日本でも定着したのですから、やはり左の方が地位が下で、右が地位が上というのも同じだったのでしょうか。

調べてみると、どうも逆だったようです。

朝廷に使える役人の官位に、右大臣と左大臣という人がいました。

雛人形の中に弓矢を持って左右に座っているのが右大臣と左大臣です。
細かいところまでこだわっている雛人形だと、右大臣の方が若く、左大臣の方が年齢が上に見えるように顔が描かれています。

左大臣の方が経験豊富で、立場が上だったからなんですね。

どちらも同じ大臣という官位名がついていますが、立場としては左大臣の方が上だったのです。

というのは、中国の文化が日本に伝わってくるまでは、左の方が尊まれていて、右の方が下だったのです。

もしも、中国の文化が伝わらなかったとすれば、今使われている左遷という言葉は違和感を持たれたでしょうね。

まとめ

左遷の反対の言葉が右遷ではない理由をご紹介しました。

右と左は、対照的なことを表現するためによく使われるのですが、左右同等ではなかったのですね。

日本では左が上、中国では右は上と、まったく正反対だったのに、左遷という言葉は普通に使われるようになったのですから、不思議です。

鎖国していた時期もあり、海に囲まれている島国でありながらも、大陸から受けた影響は大きかったのでしょう。