「あの事件には、じつは大物政治家が一枚噛んでいるらしい」というような使い方をする「一枚噛む」という言葉。
聞いたことがありますよね。
国有地が大幅値引きされた問題では、当時の総理大臣とその妻が一枚噛んでいたという疑惑が沸き上がり、今もまだ真実は解明されていませんね。
このように、政治のニュースなどで政治と金に関する疑惑が浮上するときなどに、よく耳にします。
この「一枚噛む」という言葉の意味は、ほとんどの人がわかっていると思います。
ですが、語源を聞かれると、答えられる人はごくわずかではないでしょうか。
「一枚噛む」の一枚とは何なのか、意味や語源について見ていきましょう。
「一枚噛む」の意味
「一枚噛む」は、ある事柄に何らかの関係があるという意味で使われています。
部分的に関与しているとか、無関係ではないという意味で使うことが一般化しています。
どちらかと言うと、ネガティブな事柄に関係しているという意味で使われることが多くなっていますが、もともとは悪事に関わることを示す言葉ではなかったのです。
政治家の汚職疑惑などで頻繁に使うことがあったため、良いことに対してはあまり使わなくなってしまったのだと考えられます。
「一枚噛む」の語源
「一枚噛む」の一枚とは何のことなのか、その語源を調べてみると2つの有力な説があるようです。
何かに関係しているという意味から考えると、何か契約書や証明書などの書類を想像しますが、そう言うことでもないようです。
語源とされる2つの説を見てみます。
その①
「一枚噛む」の一枚とは、役者の看板や力士の番付のことだと言われています。
たしかに、主役になるような役者を「一枚看板」と言ったりします。
力士の番付も一人一枚書いたていたことから、「一枚」とは「一人」を表すことだったのです。
つまり「一枚噛む」とは、その事柄に関わっている人物がいるという意味になったと言われているのです。
その②
「一枚噛む」の一枚とは、商品などの売買取引をする際の最小単位が語源になったと言われる説があります。
つまり、取引に少しでも資金を投じることを「一枚噛む」と言ったことが由来になったと言われているのです。
2つの説を見比べてみると、言葉の意味がすんなり理解できるのは、2つ目の説のような気がします。
「一枚噛む」の類語
「一枚噛む」という言葉が、あまりにも印象が悪くなってしまったので、何かに関係しているという意味を伝える慣用句として、使い難くい場面もあります。
何か少しでも関わっているという意味でも、ポジティブな印象を与える言葉がないものか・・と考えてみました。
「頭を突っ込む」
「足を突っ込む」
「片棒を担ぐ」
「手を出す」
「加担する」
どれも悪事に関わるという意味で使われることが多いですね。
「一役買う」は役割を担ったり、その事柄の成功に関係することで使います。
「一枚噛む」と比べて、使いやすいのではないでしょうか。
まとめ
「私はあの件に一枚噛んでいるのよ」なんて聞くと、いかにも悪いことに関わっているように聞こえてしまうのは、先入観として植え付けられてしまったからなのでしょうね。
もっと幅広く使える言葉だったはずなので、マスコミなどの擦り込みの影響は大きいのです。