「こたつで河豚汁」という言葉には、どんな意味があると思いますか?
こたつといえば、冬の暖房アイテムとして根強い人気がありますよね。
洋風の住居が一般的になっても、こたつはなくなりません。
「こたつで河豚汁」とは、日本の伝統的な暖房器具であるこたつと、美味なフグの鍋を組み合わせた慣用句です。
冷え切った体を芯から温めるために、こたつとフグ鍋は最高の組み合わせだと思います。
ということは、「こたつで河豚汁」とは、冬に体を温めることの大切さを伝えているのでしょうか。
そんなに単純ではなさそうな気がしますが・・。
「こたつで河豚汁」の意味や語源、使い方を見ていきましょう。
「こたつで河豚汁」の意味
「こたつで河豚汁」とは、
やっていることが矛盾していることのたとえ
です。
こたつに入りながら河豚汁を食べることが、なぜ矛盾を示すのでしょうか。
「こたつで河豚汁」と聞いただけでは、意味を理解するのは難しいかも知れませんね。
「こたつで河豚汁」の語源
「こたつで河豚汁」が、なぜ行動の矛盾を表すのか理解するためには、こたつと河豚汁がどのようなイメージを持たれていたのか知り必要があります。
こたつの歴史を調べてみると、650年ほど前の室町時代からあったようです。
その当時の日本家屋は、気密性も良くないので、室内全体を温めるのは難しかったと思います。
囲炉裏や火鉢などで温まる方法が一般的でした。
こたつは、囲炉裏の火を落としたあとに、余熱を利用するために工夫して考え出されたものです。
囲炉裏の火を落とし、四方に骨組みを作り、そこに着物をかけて足を温めたのが始まりです。
その後に、火鉢を使ったこたつが考えられると、囲炉裏のない部屋でも温まれるようになったわけです。
冬の寒さによって体調を崩すことも多かったと思うので、こたつという暖房器具は冷えから体を守るために大活躍したのではないでしょうか。
次は河豚汁です。
フグには猛毒があるのは、昔から知られていました。
それなのに、その美味しさに抗えずに食べてしまい、中毒死する事例が後を絶たなかったそうです。
豊臣秀吉が朝鮮半島に出兵した時に、フグの中毒死が続いたので、食べることが禁止されます。
その後、江戸時代になってからもフグの中毒死を防ぐために、武家はご法度だったのです。
でも、庶民の間では禁止されていなかったので、フグの中毒死はとても多かったのですね。
今でこそ、フグの調理には特別な資格が必要になり、安全に食べられますが、江戸時代には命がけだったのでしょう。
「こたつで河豚汁」が、やっていることの矛盾を示す言葉として生まれたのは、この時代のことを表したからです。
寒さから体調を崩すことのないように、こたつにあたって体をいたわりながら、命を落とす危険を含むフグを食べるのですから、矛盾していますよね。
「こたつで河豚汁」の使い方
いつも健康のためにサプリ飲んでいるのに、そんなジャンキーもの食べたら意味なくない?
言われてみればそうだよね
体に良いものと害のありそうなものを同時に摂って相殺している感じじゃない
こたつに河豚汁状態です
矛盾しているとわかっていても、ついガマンできないことってありますよね。
そういう様子を表すのに使えます。
まとめ
「こたつで河豚汁」の意味は、少し極端に感じるかも知れません。
ですが、時代をさかのぼれば、大げさでも極端でもなかったのでしょう。
ついやってしまいがちな矛盾した行動をしてしまった時には、「こたつで河豚汁」を思い出してしまいそうです。