「こんなことするなんて、お前ひとりの考えじゃないだろ!いったい誰の差し金だ!」というようなセリフ、ドラマなどで出てきますよね。
日常生活では、そんなに使っていないような気がしますが、耳にしてもとくに珍しい言葉でもないので、無意識に使っているのかも知れません。
この「誰の差し金だ」とはどんな意味があり、何が由来で生まれた言葉なのでしょうか。
調べてみました。
差し金とは?
差し金というのは、大工道具の曲尺のことでもありますし、差し金ではなく指矩と書く金物製の物差しのことでもあります。
「誰の差し金だ」という時の差し金は、大工道具として使われる差し金とは違うものです。
この場合の差し金は、伝統芸能の人形浄瑠璃の世界から生まれたものです。
人形浄瑠璃は、繊細な動きをするために黒子が操って表現する芸能です。
海外でもマリオネットという操り人形がありますが、日本の人形浄瑠璃は、仕掛けが繊細で複雑なので、人形とは思えないほどの豊かな表現をします。
この時に人形を操るための棒のことを差し金(挿し金と書くこともある)と呼びます。
誰かが後ろについていること
人形浄瑠璃の人形がまるで感情を持っているかのように表現できるのも、精密な細工と操作する黒子の技術です。
人形だけでは何も動けませんから、「誰かの差し金じゃないのか?」と思うのは、その人の後ろに誰かの存在を感じている時に出る言葉です。
例えば、子供がいたずらをして言い訳をする時に、年上の兄弟姉妹が知恵を与えている時などに、親はピンときます。
「この子がそんな言い訳をするなんて・・」
そんな時に「お兄ちゃん(お姉ちゃん)の差し金だなぁ~」とか言っているのではないでしょうか。
大人の世界では、もっとドロドロした場面で使われることが多いです。
誰の差し金もないのに・・。
「誰かの差し金だね」と言われるのは、その人にはそんな知恵がないと言われているようなものなので、見下されていると感じてしまうこともあります。
たしかに誰かの知恵で操られていることなので、そう思うのも仕方ないことですが、悪い意味ではないこともあるのですよ。
例えば、悪いことをしそうにない人が何か悪事を働いてバレた時です。
周りの人は、悪いことをする理由が何かあるはずだと考えます。
きっと、誰かずる賢い人間が、お人好しのこの人を騙して、悪事を働かせるように操っているのでは?
そんな時にも「あなたがこんなことするはずない、誰かの差し金でしょう」と言うこともあります。
この場合は、その人を見下したりしているわけじゃないので、腹を立てなくても良いのですが、簡単に人に操られるというのはやっぱりちょっとお人好しが過ぎますね。
まとめ
誰かの差し金。誰の差し金だ。
よく聞くけど、その差し金って何のことなのか知らないまま使っている人が多いでしょうね。
操り人形を操る棒のことだとイメージすると、使い方がハッキリわかるようになりました。