広い敷地の公園の中には、休憩する場所が設置されていることがあります。
ベンチだけの場合もありますが、屋根付きの休憩スペースもあります。
大抵の場合は、屋根と柱だけで、壁のない建物が多いと思います。
そのような休憩場所になる建物のことは、東屋(あずまや)と呼ばれます。
なぜ東屋と呼ばれているのか、疑問を感じます。
たとえば公園内の東の方角に必ずあるとか
そう考えるのが自然だよね
ですが、必ずしも公園の東の位置にあるわけではないのです。
それなのになぜ東屋と呼ばれるのか、その理由を探ってみました。
東屋の語源を調べてみましたので、解説します。
東屋(あずまや)の意味
東屋(あずまや)とは、
屋根をふいただけの簡素な造りの小屋
壁のない小屋
公園や庭園の休憩所
このような建物を指す言葉です。
公園の東の方角にある建物という意味ではありません。
東という方角が使われる理由は、語源からわかります。
東屋(あずまや)の語源
なぜ屋根だけの簡素な小屋のことを東屋(あずまや)と呼ぶのかは、語源を調べることでわかりました。
東屋の東とは、東の国ことを指しています。
東国とは、京の都から離れた東の国のことで、江戸のことを指しているのです。
江戸は、徳川幕府が開かれるまでは何もない平野でした。
荒野が広がる土地を、国で一番にぎやかな土地に開発していったのです。
各地から江戸に人々が集まったので、世界一の人口密集地となった時期もあったほどです。
ですが、どんなに江戸が栄えても、天皇のいる京の都から見れば東国は田舎の扱いでした。
雅な文化は京から発信されるものでしたから、どんなに江戸が繁栄しても京に対する憧れは強かったのだと思います。
屋根をふいただけの簡素な小屋のことを東屋(あずまや)と呼んだのは、京の都から見た「東国は田舎」という意味なのです。
田舎風の造りの小屋とか、田舎にある小屋という意味が込められたのでしょう。
東屋と四阿の違い
東屋(あずまや)は、もう1つ四阿という漢字で表すこともあります。
四阿の四は四方を意味します。
阿は屋根のひさしを意味します。
つまり四阿とは、四方にひさしのあるだけの小屋という意味なのです。
小屋の造りを表すのであれば、東屋よりも四阿の方が的確のような気がします。
しかし読み方はあくまでも「あずまや」です。
四阿という文字で表すのにも「あずまや」と読むのは、よほど東の国に対して見下す意味があったのではないかと想像してしまいます。
三河や駿府を領地としていた徳川家は、豊臣秀吉の命令で関東に領地替えをしました。
京の都から遠く離れることは、影響力を失わせる狙いがあったのだと思います。
しかし、それを逆手にとった家康が作ったのが武士の時代です。
武士はもともと天皇を守るのが役割だったのですから、天皇のいる京の都の人々は面白くなかったのではないでしょうか。
そういう苦々しい気持ちが、東屋という言葉からも感じられるのです。
まとめ
公園にある小屋が東屋(あずまや)と呼ばれる理由には、京の都から見た江戸に対する心情が関係していたようです。
今もまだ、京都の人々は御所に天皇がお戻りになる日を待っているという話も聞きます。
京都の人々の気高い誇りを感じさせられました。