「たらい回し」にされて嬉しい人はいませんよね。

役所でたらい回しにされたことあるわ
ほんとにイライラするわよね

保護者がいなくなって
親戚の家をたらい回しとか
ドラマとかで聞くセリフだ
このように「たらい回し」にされるのは、誰もが避けたいことでしょうが、そもそもなぜ「たらい回し」なのでしょう。

それはきっと
たらいの中を
グルグル回るようなことを
重ねたのでは?

それっぽいね
さて、「たらい回し」の語源とは何なのでしょう。
世の中で使われている「たらい回し」の意味は、本来の意味と同じなのかどうか。
チェックしてみました。
「たらい回し」の意味
「たらい回し」とは、仰向けになった状態で足でたらいを回す曲芸のことです。
足でたらいを回しながら、次の曲芸師にたらいを渡していく様から、その人が最後まで責任を持たずに次の人へ送ることを「たらい回し」と表現するようになったのです。
「皿」ではなく「たらい」の理由
「たらい回し」の語源を調べると、たらいを回す曲芸というのは間違いなさそうです。
ですが、少し考えてみると疑問が生まれました。
回しながら次の人へ渡していく芸は、他にも見たことがあります。
むしろ「たらい回し」よりも「皿回し」の方がみる機会が多い気がします(個人の感想)
コマ回しや傘回しなど、曲芸は色んなものを回す技があるのになぜ「たらい回し」なのか。
その理由についてはたしかなことはわかりません。
あくまでも想像ですが、やはり丸いたらいを回しながら次の人へ渡す様と、たらいの中でグルグルと回るだけという意味もあるのではないかと考えてしまいますね。
同じところをグルグルと回されても、誰も最終的に責任を持って対応しない様子は、まさにたらいの中で回っているようなものです。
「たらい回し」の使い方
「たらい回し」は誤用されずに本来の意味として使われているのか、使い方の例を見てみましょう。
例文①

買ったばかりのスマホが
いきなり故障したんだよ

それは困るね
で、どうしたの?

電話で問い合わせしたのだが、
たらい回しにされて
何度も何度も同じことを
説明させられて疲れたよ

たらい回しは困るよね
同じことを何度も説明するのは
ほんとに時間の無駄だもの
例文②

うちの部署のA君の奥さんが
急に具合が悪くなって
昨日、入院したそうだよ

あら、それは大変じゃない!
だってAさんのところは
もうすぐお子さんが生まれるはずじゃ?

そうなんだ
救急車を呼んだのに、
妊婦の急病人を受け入れる病院が
1時間以上も見つからなくて
困ったそうだよ

ニュースとかで見たことあるわ
ホントにたらい回しにされるのね
「たらい回し」の類語
「たらい回し」に代わる言葉を探してみました。
たとえば「なすりつける」はどうでしょう。
同じような意味のように思いましたが、よく考えると人に押し付けることです。
責任や過失など、自分が負うべき責任を他人に押し付けることなので、最後まで誰も責任を取ろうとしない「たらい回し」とは少し違う気がしますが、使えないわけではないでしょう。
責任転嫁、押し付けなど、責任から逃れようとすることをあらわす言葉は「たらい回し」と通じるのです。
まとめ
「たらい回し」がまさか曲芸のことだったとは・・。知らなかったので驚きました。
その様子から現在のような責任逃れをあらわす言葉になったとは、じつはあまり知られていないようです。