【たっての願い】には【達て】と【断って】があるのはなぜ?意味は?

ことばの意味

「私のたってのお願いをどうか聞き入れてください」というように、無理なお願いをするような時に使うのが「たっての願い」です。

よく聞くのに、「たっての願い」の「たって」とはどんな意味なのか知らない人もいるのではないでしょうか。

しかも「たっての願い」には【達て】と【断って】の2つの漢字が使われるのです。

読み方は同じなのに、違う字で表すということは、意味が違うのでしょうか。

「たっての願い」について調べてみましたので、一緒にチェックしてくださいね。

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「たっての願い」の意味

「たっての願い」とは、

無理を承知の上でのお願い
何が何でもお願いしたい
是非ともお願いしたい
このように、無理だとわかっていても、何とか頼み込むときに使います。
つまり「たっての願い」とは、自分のために相手が無理をしなければいけないような頼み事なのです。

「達ての願い」と「断っての願い」

「たっての願い」を漢字にすると「達ての願い」と「断っての願い」の2通りあります。
どちらが正解というわけではないのですが、本来は「断っての願い」でした。
「断っての願い」とは、無理なお願いをされた側には、様々なリスクが予想されます。
困難が待ち受けることを覚悟しなければ、受け入れられるような頼まれごとではないわけです。
そのような困難を考えると、簡単には決められないことです。
しかし、どうしてもお願いを聞き入れて欲しいので、迷いや不安の気持ちを断ってでもお願いしたいという意味なのです。
無理を承知の上でのお願いとはいえ、相手がリスクをすべて覚悟して聞き入れて欲しいとは、ずいぶんと身勝手なことですよね。
それでもお願いすることなので、「断っての願い」という表現は、軽々しく使えないような気がしますね。
「達ての願い」の「達て」とは、無理を押すことを意味するので、「達ての願い」でも間違いではないわけです。
ただ、本来の「断っての願い」のように、相手の気持ちまで考えた上での無理を承知のお願いとは少し違う印象になりますね。
じつはもう一つ、「強っての願い」と書くこともあります。
「達て」と同じく、強いてのお願いという意味です。
「達て」も「強って」も、本来の「断って」の当て字として使われるようになったのです。
ということは、正しいのは「断っての願い」ということですね。
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「断っての願い」の使い方

「断っての願い」の使い方を例文で見てみましょう。

例文①

ホントに申し訳ないんだけど

なによいきなり

どうしてもお願いしたいことがあるんだ

だから何よ

今日はどうしても定時に帰りたいから、残業代わって欲しい

ええ、無理よ
私も約束があるんだから

そこを何とか

無理だって、先約があるんだから

今日は早く帰らないと、彼女にフラれそうなんだ

そんなこと言われても・・・

断ってのお願いです
助けると思って、お願いします!

うーん、しょうがないな

例文②

今週の昼飯代が足らなくなちゃったんだ

 

 

え?どういうこと?

ちょっとな・・・

ちょっとなって
それじゃわからないでしょ

じつは、後輩のAくんが取引先で大失敗したんだ

 

 

あら・・それで?

Aくんの断っての願いで俺が同行することになったんだ

そうなの

手ぶらというわけにもいかないから、
少し高級な羊羹(ようかん)を自腹で買ったんだよ

わかったわ、後輩の断ってのお願いなんだから仕方ないわよね

まとめ

「断っての願い」とは、ほんとに無理を承知の上で頼むことなので、使う時にはよく考えないといけませんね。

よく「一生のお願いだから」という表現を軽々しく使う人がいます。

それと同じくらい、「断ってのお願い」は軽々しく使うのは適していないのですね。