家事をするのが主な仕事で、家庭の外で働いていない既婚女性のことを専業主婦と呼びますよね。
それに対して仕事をしながら家事をする既婚女性のことを兼業主婦と呼びます。
どちらも女性のことを示していますが、既婚男性が家事を主な仕事としている場合は専業主夫や兼業主夫と呼ばれます。
主婦に対して主夫なのはなぜなのか疑問です。
夫に対しては妻なのに、なぜ主婦に対して主夫になったのでしょう。
どちらも「しゅふ」と読めるので、単なる語呂合わせだったのでしょうか・・。
そもそも主婦の語源とは何だったのでしょうね。
いつから主婦という言葉が使われるようになったのか、そして主夫はいつから使われるようになったのか調べてみました。
「主婦」の語源とは
「主婦」の語源の前に、現在の主婦とはどんな人のことを指しているのか確認しておきましょう。
主婦とは、一家の中で家族の世話をし、家事全般を取り仕切る立場にある女性。
このように辞書に書かれています。
他にも調べてみると、
一家を切り盛りする女主人。
多くは家長の妻がその役割を担う。
とも書かれています。
もしも家長となる夫がサラリーマンであれば、家事、育児を担い、家計を管理するのが主婦ということになります。
また、家業を営む夫の妻であれば、従業員の世話や指導なども行う女主人というのが主婦ということになります。
私たちが使っている主婦のイメージは前者ですよね。
ですが、「主婦」の語源を調べてみると、もともとは後者の方だったのです。
「主婦」という言葉の語源は、現在で言うところの旅館の女将のことでした。
今では女将、若女将、大女将など、旅館を切り盛りする女性の呼び方は知れ渡っていますが、明治時代には「主婦」と呼んでいるところもあったようです。
旅館の女将と言えば、旅館の一切合切を取り仕切る監督者でもあり責任者でもあります。
実際には夫が経営者だったとしても、責任者として表に立つのは女将だったりします。
そういう女性のことを「主婦」と呼んでいたのが、やがて旅館業以外の業種にも広がっていきます。
店主の妻、社長の妻のことを「主婦」と呼ぶようになったのです。
現在のように、家事を主にする女性のことを主婦と呼ぶようになったのは、昭和の時代になって会社勤めのサラリーマン男性が増えてからなのです。
「主夫」の語源とは
「主婦」に対して家事を主に担う男性のことを「主夫」というようになったのは、1990年代だと言われています。
つまり、語源である女主人のことを表す「主婦」という言葉からサラリーマン家庭の家事を主に担う「主婦」に変化してから、さらに数十年も経ってから生まれた言葉です。
1980年代の終わり頃からフリーランスという働き方が注目されるようになり、妻は外で仕事をしているので、家で仕事をする夫が家事をするようになるケースが増えてきたからです。
家事を主にする夫を描く漫画やドラマなどのタイトルに「主婦」と同じ読み方の「主夫」が使われるようになったことで、さらに社会に定着してきたと考えられます。
つまり「主夫」の語源は、「主婦」に語呂合わせをした当て字で生まれた言葉だと考えるのが妥当ではないでしょうか。
性別を限定しない表現
主婦は女性、主夫は男性と限定されるような表現は、今の時代には合わない気がしますよね。
昔は看護婦だったのが、今は看護師です。
ちなみに、看護婦は女性、看護士は男性と分けていた時代もありましたが、今は男女で呼び方を変えることはありません。
保母さんに対して、保父さんなんて呼んでいた時代もありましたが、今は保育士です。
助産婦も今は助産師ですから、職業名に性別を限定させるような表現はしなくなっているのです。
ところが主婦と主夫に関しては、ハッキリと性別がわかってしまいます。
これは家事は報酬が発生ので、職業とは考えないからなのでしょう。
これには大いに疑問を感じます。
まとめ
「主婦」の語源を調べてみると、今のように家族のために家事をする女性ではなく、旅館を切り盛りするような商売人の女性からだったのです。
主婦と主夫のように、性別が分かれるような表現はやめて、家事を担う職業として新しい名称が生まれてくれるといいな・・って思います。