スポーツ番組やバラエティ番組などで実況ナレーションが入るとよく耳にするのが「さあ、いよいよ戦いの火蓋が切って落とされました!」というフレーズ。
これって正しいのでしょうか。
火蓋を切って落とす、火蓋が切って落とされた。
これが当たり前のように使われています。
それで間違いないと思うけどね。
疑問に思ったら調べないと気が済まない人なの~
どうぞ、思う存分に調べてください。
は~い!ちょっと気になったので調べてみました。
火蓋とは?
火蓋って何なの?
まずはそこからですよね。
火蓋とは、火縄銃の火薬を詰めるところにするフタのことです。
火縄銃は、銃弾に火薬を詰めるわけじゃなく、火皿というところに直に火薬を詰めて、そこに縄につけた火が引火することで使える仕組みだったそうです。
点火の前に火皿にフタを開くと、引火して発砲されるわけです。
火皿のフタのことを火蓋と呼んでいたので、戦いの場面で使われる由来は火縄銃を扱う時の用語だったからです。
火蓋を切るのか切って落とすのか
さて、火蓋を切るのか、火蓋を切って落とすのか。
正解は火蓋を切るでした。
火縄銃の火蓋を切って落とすとは言わないので、正しくは「戦いの火蓋が切られた」とか「戦いの火蓋を切った」という使い方です。
なぜ切って落とすと誤用されるの?
「火蓋を切る」という使い方が正しいのに、なぜ今は「火蓋が切って落とされた」というのでしょう。
すっかり定着してしまったので、これが誤用だと気が付かないまま使っている人がとても多いようです。
なぜ誤用がこれほどまでに広まってしまったのか調べてみると、何か物事が始まることを意味する「幕を切って落とす」という言葉とごちゃ混ぜにしてしまったことが原因と考えられます。
「幕が切って落とされました」という使い方をするのは、演劇や映画の公開とか、博物館や美術館の催しなどが始まる時などに使う言葉です。
由来は芝居の幕が由来です。
「火蓋を切る」は戦う時だけに使う言葉でしたが、いつの間にか使う場面の広がり、何か物事を始める時に使う表現となり、日常的に使える慣用句になっています。
「幕を切って落とす」と同じような使い方をするようになったので、二つの表現がごちゃ混ぜになってしまい、「火蓋を切って落とす」というのが当たり前にようになってしまったのでしょう。
まとめ
火蓋を切って落とすというのは、明らかに誤用なので正しい使い方をするように気をつけましょう。
「火蓋を切る」と「幕を切って落とす」を正しく使い分けるようにしたいですね。