おめでたいときに縁起物としてお膳に出されることが多いのが鯛です。
「おめでたい」と鯛(たい)をかけた演技担ぎのようなものです。
鯛をおめでたいときに食べるようになった風習は江戸時代からだと言われています。
理由は諸説あるにしても、日本人の意識の中には、おめでたいときに食べる魚というのは定着していますね。
とくに鯛のオカシラ付きは、お祝い事に喜ばれました。
では、鯛のオカシラ付きは漢字にするとどう書くのかご存じでしょうか。
意外と間違っておぼえている人が多いようですよ。
今回は鯛のオカシラ付きの正しい書き方から、なぜオカシラ付きが縁起物とされたのかなどご紹介します。
鯛のオカシラ付きの漢字の書き方
鯛のオカシラ付きを漢字にすると「お頭付き」や「御頭付き」と書く人が意外と多いのです。
もしも「お頭」や「御頭」が正しいと思っているのなら、残念ながら間違いです。
正しくは「鯛の尾頭付き」です。
オカシラとは頭が付いている状態のことではなく、尾と頭が付いている状態のことなので「尾頭付き」が正しいのですね。
鯛がおめでたい魚になった理由
「おめでたい」と鯛(たい)をかけただけじゃなく、真鯛が赤いから縁起の良い魚になったと言われています。
赤い真鯛を白い半紙の上に置くと紅白に見えます。
お祝い事の使う水引きは紅白ですから、おめでたい感じに見えるのも理由ではないかと伝わっています。
ただ、真鯛が赤いのは魚の特徴ではありません。
これは真鯛の食べている小さな海老の赤い色素によって、赤くなるのです。
赤い色素と言えばアスタキサンチンという成分で、抗酸化作用のある成分として化粧品にもよく使われています。
また、赤い色素によって本来は白身魚なのに赤い身になるのが鮭や鱒です。
たしかに同じ真鯛でも、赤さに差があるのは、食べ物の差なのでしょうね。
シロウオとシラウオの違いもわかる?
生きたままの魚介類を食べるのが「踊り食い」です。
新鮮な状態のまま食べるのは、苦手な人もいますが、贅沢な食べ方ですよね。
踊り食いで有名なのは、シラウオなのかシロウオなのかわかりますか?
踊り食いをするのは、シラウオではなくシロウオです。
シラウオは白魚、シロウオは素魚と書きます。
種類も違う魚なのに、なぜが「シラウオの踊り食い」と間違えられることが多いのです。
シラウオはお寿司のネタにもなります(軍艦巻き)が、シロウオは収穫量も激減していて、絶滅が心配されるほど貴重なので、食べる機会が少ないのでシラウオと勘違いされてしまったのではないでしょうか。
サンマはなぜ秋刀魚になった?
食卓に並ぶことが多い身近な魚は、魚へんで書くものがほとんどですよね。
鯵、鰯、鯖、鰤、鮪、鮭、鱈、鰻など、どれも魚へん一文字の漢字です。
ですが、サンマは秋刀魚と書きます。
しかし秋刀魚は当て字として広まったようで、大正時代以降に使われるようになったのです。
もともとはほかの魚のように、魚へん一文字のサンマがあったのか・・疑問に思って調べてみましたが、秋刀魚の前は青串魚とか狭真魚だったのです。
ほかの魚が魚へんの漢字一文字なのに、サンマだけが取り残されてしまった理由は謎のままです。
関連記事:【八百長】の語源とは?相撲界で問題になったことと関係はある?
まとめ
おめでたい席で鯛のオカシラ付きが出てきたときには、「お頭付き」ではなく「尾頭付き」を思い出してください。
魚類には名称や漢字表記など、時代によって変化も激しいので、間違えていても指摘されることは滅多にありません。
ですが、間違えているのに気が付いたのなら、正しくおぼえておきたいですね。