「首長」といえば、都道府県知事た市町村長など、地方自治体のトップを差す言葉として頻繁に見聞きします。
地方自治体の長がテレビで発言する機会が増えている時期には、新聞などで目にするだけではなく、テレビニュースなどでも「首長」をよく耳にします。
この時に疑問に思うのは、人によって「首長」の読み方が違うことです。
ある人は「しゅちょう」といい、ある人は「くびちょう」です。
いったいどちらが正解なのでしょうか。
もしかしたら、「首長」には「しゅちょう」と「くびちょう」の2つの区別があるのかも知れない・・・と思わせます。
今回は「首長」の読み方が「しゅちょう」と「くびちょう」の2つあることの疑問について解説します。
「首長」とは?
「首長」は、都道府県知事、市長、区長、町長、村長などの地方自治体のトップの立場にある人を差す言葉と理解されています。
ですが、本来の「首長」の意味は、地方自治体の長に限られたことではなく、グループ、組織、団体を率いる長ということです。
団体を統率する長ということなので、とても広い意味で使えるのですが、一般的に使われる頻度が高いので、地方自治体の長を表す言葉として定着しているようです。
「しゅちょう」と「くびちょう」の違い
「首長」のことを「しゅちょう」と「くびちょう」と2つの読み方をするのは、それぞれ違う立場のことを示しているからなのか・・・と思っている人も多いと思います。
ですが、この「しゅちょう」と「くびちょう」はどちらも同じ意味なのです。
違いはありません。
正しい読み方は「しゅちょう」です。
ではなぜ「くびちょう」という読み方をするようになったのでしょうか。
その理由は、「首長」と呼ばれるのは地方自治体の長であるなど、行政に関わる立場に使うことが多いからです。
地方自治体の長の中に「市長」がいますね。
「しちょう」と「しゅちょう」はとてもよく似た発音なので、紛らわしいのです。
読み方が似ているだけで聞き間違いが多発するのも困るため、区別するために「くびちょう」と読むようになったのが始まりだと言われています。
つまり、役人たちが使う業界用語として「くびちょう」と読むようになったのです。
ということなので、テレビのニュースや討論番組などでは「しゅちょう」を使うべきなのですね。
ただ、いつも「くびちょう」を使っている人たちは、つい公の場でも使ってしまうので、一般の人たちにまで「しゅちょう」と「くびちょう」の2通りの読み方が知れ渡ってしまったのです。
発音が同じ言葉によくあるケース
「首長」の正しい読み方は「しゅちょう」なのに、市長(しちょう)と聞き間違えを防ぐために「くびちょう」という読み方にするのは珍しいパターンではありません。
同じ読み方でも全く違う文字を使う言葉も日本語には数多くあります。
たとえば「市立」と「私立」です。
どちらも「しりつ」と読むので紛らわしいですよね。
そのため「市立」→いちりつ、「私立」→わたくしりつなどと読み分けることもあります。
外にも「科学」と「化学」も同じ読み方をします。
この場合は「科学」はかがくのままで、「化学」のほうをばけがくと読み変えることで、間違えないようにしています。
このように読み方を変えるのは、言葉として使っているうちに間違えないための知恵として工夫されたのでしょう。
関連記事:市長・区長・町長・村長なのになぜ都道府県のトップは知事なのか!
まとめ
知事や市長などの記者会見などを目にすることが増えると、「首長」という読み方の疑問を感じた人もきっといると思います。
小さな疑問ですが、解決のヒントになれば嬉しいです。