市長・区長・町長・村長なのになぜ都道府県のトップは知事なのか!

ことばの雑学

市長、区長、町長、村長は選挙で選ばれる地方自治体の長のことです。

○○市なら市長、○○区なら区長のように、その自治体によって長の名称は違います。

いずれも「長」が付いているので、まとめて市区町村長と呼ぶこともあります。

「長」が付くのは、その団体の中の長なので、わかりやすいですよね。

これらの市区町村は都道府県の中で分けられた自治体です。

では、なぜ都道府県のトップは都長、道長、府長、県長ではなく知事なのでしょう。

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知事の語源とは

知事の語源は仏教用語だと言われています。

日本で生まれたのではなく、中国から仏教が伝わったように、知事という役職の名前も伝わったと考えられます。

もともとはサンスクリット語が漢訳されたので、仏教が中国に入ってきた後に使われるようになったと考えられます。

中国では、5世紀ごろに禅宗が発展しはじめます。
寺院の規模が大きくなり、寺の仕事が多くなったため、それぞれに役職を分担しました。

この時に6つの役割に分けて、そこをまとめる人を置いたことが知事の始まりです。

この後、寺院だけではなく、地方の長に対しても知事という名称が使われるようになったのです。

その頃に日本に伝わったと言われています。

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日本の知事っていつから?

日本で地方自治体の長として知事という役職が使われるようになったのは、明治維新後のことです。

江戸時代が幕を下ろし、明治になった直後は、まだ藩制度が残っていたので、知藩事という長が各藩に置かれました。
いきなり中央政府の役人が任命されるのではなく、当時は大名がそのまま任命されたのです。

長ではなく、知事という役職にした理由は不明ですが、現在のように選挙で決めるのではなく、内務省管轄だったので、地域の長との違いを見せたかったのかも知れませんね。

今のように選挙で都道府県知事を決めるようになったのは、昭和22年以降のことです。

現在の東京都は、東京府と東京市の合併によって東京都となり、知事を選挙で選ぶ制度が取り入れられたことがきかっけで全国でも選挙で知事を選ぶ制度が整えられました。

都道府県の違い

東京都は他の道府県とは違い、首都なので東京都になったのはわかります。

では、道府県はどうなのでしょう。

県は「縣」の文字がもとになっています。
中国では地方行政の役所を指しています。

それが日本の県の由来です。
明治政府が藩という江戸幕府を思い起こさせる制度を廃止して、県としたわけです。

東京と京都と大阪は、重要な都市として「府」とされました。

その後、東京府と東京市が合併されて東京都となります。

北海道は、もともと蝦夷地と呼ばれていて、アイヌ民族の人々が暮らしている土地でした。

北海道というのは、松浦武四郎という人物が付けた名前だと言われています。

幕末の人で、探検家として有名だった人です。
何度も蝦夷地に行ったことがあり、アイヌ民族の人々の暮らしにも詳しかったそうです。

この松浦武四郎という人が付けた北海道は、正式な行政区域の名称として使われていましたが、正式な地方自治体の名称として北海道になったのは1947年(昭和22年)です。

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まとめ

都道府県知事の制度の始まりは、大名がそのまま知藩事だったのですね。

地域の長と名称が違うのは、その時から始まっていたのではないでしょうか。

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