人をからかったり、相手が困るようなことを言うのを「冷やかす」って言いますよね。
街をぶらぶらと散策している間に、お店にふらっと入って買いもしないのに品物を手に取って眺めているような客のことを「冷やかしの客」と言ったりもします。
なぜからかったりするようなことを「冷やかす」というのでしょう。
冷たい態度で接するのとは違うのに、「冷やかす」というのには何か理由があるのでしょうか。
冷やかすの由来とは
「冷やかす」とか「冷やかし」の由来は、江戸時代に作られた最大規模の遊郭街だった吉原から生まれた言葉だと伝わっています。
吉原には、遊郭がひしめき合うように並んでいました。
街が暗くなる頃には、キレイに着飾った遊女が店先に並んでお客の目を引いていました。
張り見世と言って、今で言えばキャバクラなどで女の子の顔写真を入口に貼りつけているようなものです。
「こんな女の子がいますよ~」と見せているわけです。
時代劇などで見たことがある人も多いでしょう。
その吉原の近くには紙を作る職人が多く住んでいるところがありました。
浅草紙といって、今で言うところの再生紙のようなものです。
紙はとても貴重なものだったので、紙くずを集めてまた水に溶かして紙として作り直すのです。
和紙を作る工程の中に、「冷やかし」というものがあります。
水につけて冷やかすことです。
3時間くらいは必要だった冷やかしの時間なので、その時間は職人さんたちは暇なんですよね。
その「冷やかし」の時間に職人たちが吉原をぶらぶらして、遊ぶわけでもないのに遊女たちに声をかけたりして時間を潰していたのです。
そのことから、吉原では遊びもしないのに見物だけしているような人のことを「あれは冷やかしだよ」というようになったと伝わっています。
からかったりすることを「冷やかす」というのも、遊女たちは店先で言葉を発することを控えるように言われているのに、返答に困るような声を投げかけて困らせる様子から、からかうことを「冷やかす」というようになったと伝わっています。
冷たくする意味もある
「冷やかし」や「冷やかす」は、冷たくするわけじゃないのですが、現在はその場の雰囲気を冷やすような意味としても使われることがあります。
例えば、とてもラブラブな様子の恋人同士に対して、二人が困るような言葉を投げかけて、熱々な空気を冷めさせることがあります。
本来の「冷やかし」とは少し意味は違いますが、その場の空気を冷めさせるようなことに対して「冷やかすのはやめて」と返すようなこともあります。
まとめ
「冷やかし」がまさか吉原から生まれた言葉だとは知りませんでした。
遊郭では独自の言葉を使って出身地の訛りを隠したと言うのも聞いたことがあります。
色んな文化が生まれたのではないかと思うと興味深いですね。